表題番号:2013A-6256 日付:2014/04/01
研究課題レアメタル備蓄に焦点をあてたLandfill Miningの実用化に関する基礎的検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 香村 一夫
研究成果概要
1. 目的
 わが国は工業が盛んで多様な金属類から家電製品をつくり、使用後は最終処分場へと埋め立ててきた。しかし、家電リサイクル法が制定される以前に埋め立てられた処分場の浸出水中にはメタル類はほとんど検出されない。即ち、これらのメタル類は埋立層のなかにトラップされていることになる。その賦存形態について研究を続け、埋立層のなかで一部のメタル類は移動し濃集ゾーンを形成している可能性が高いことを明らかにした。本研究では、採掘対象とした最終処分場埋立層内に含まれるレアメタルの賦存量を算出するためのシステムおよび濃集ゾーンを非破壊で的確に把握する手法の開発を行った。これらは、「レアメタル類を多く賦存する最終処分場埋立層から有望なメタル資源を採掘・抽出し、将来それらの資源供給が逼迫したときのために備蓄する」という展望のもとで遂行している。
2. 方法
 関東地方で7、北陸地方で1、中国地方で2、九州地方で1の合計11の最終処分場で実施したボーリングコアを用いて、そのなかに含まれるメタル類の濃度を測定した。また、逐次抽出法により、含有メタルをそれぞれ存在形態別に区分した。これらは採掘ターゲットとなるかもしれないメタル種のスクリーニングであるとともに、選鉱・抽出方法を検討するための基礎データとなる。また、メタル濃集ゾーンを特定する技術を、現場測定とモデル実験から検討し、精度の高い探査法の開発をめざした。
3. 結果
 各ボーリングコアから得られたメタル濃度の深度別トレンドをみるとそれらは多様である。ただし、それらのトレンドが類似するメタルのグループが存在する。さらにメタル濃度が相対的に高いゾーンにはジプサム等が含まれることが多く、メタルの濃集は埋立層内の雰囲気と関係が深いことが推定された。さらに、逐次抽出法による深度に伴う存在形態の変化はメタルによって異なるが、深度の増加に伴い有機物態や残留物態といった不溶態となるメタルもある。最終処分場において電気探査IP法による探査を行い、3次元充電率プロファイルを得た。その充電率の分布は、ボーリングコア中のメタル濃度分析およびコアの充電率測定から得た埋立層内のメタル濃集ゾーンの分布とよく一致しており、本探査法は前述ゾーンの分布特定に有効といえる。