表題番号:2013A-6195 日付:2014/04/11
研究課題イギリス中等教育の英語教材における文学作品の使用:現状と目的の分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 森田 彰
研究成果概要
本研究は、日本においては英語が、日常生活に使用する第2言語とは違った形で、外国語以上母語未満の状態なりつつある、あるいは、その方向性を模索しているとの認識に基づいている。そうした状況下では、英語を基本的なコミュニケーションの手段としてだけでなく、高等学校の文科省新指導要領にあるように、ディベイトやディスカッションなどの高次元のコミュニケーションの手段として習得する必要がある。この高次元のコミュニケーションの手段、つまり「共通言語」は、native speaker も自然に習得したものではない。この高度な言語運用能力習得の過程を明確にするため、イギリス中等教育における英語教材の研究を行うこととした。研究過程では、高度なコミュニケーションを行える respectable native speakers を中心とする言語コミュニティが持つ価値観が、言語(英語)教育を通じてどのように形成されるか、まず文学作品の取り上げられ方について調査した。これは、主に The Telegraph The Gurdian の A-Level(大学進学共通テスト)上位校リスト
http://www.telegraph.co.uk/education/leaguetables/10590089/Top-100-secondary-schools-by-A-level-results-2013.html
http://www.theguardian.com/education/a-levels/2013/a-level-results-2013-interactive-map
を用い、それらの学校のサイトから、どのような文学作品が大学入学準備段階の the 6th form で用いられているかによって行った。一例を挙げれば、下記3月出張の際にインタビューを行った現役オクスフォード大学生の母校 Wallington County Grammar School では、http://www.wcgs.org.uk/new/sixthform.html でテキストを公開していて、Faulks, Dickens, Shakespeare, Butterworth, Hardy, Frost らの作品・作家を挙げている。現在、これらの調査を継続し、ジャンル、作品の特徴等について集計中である。
また、2014年3月に英国出張し、ケンブリッジ大学教育学科(Faculty of Education)、同 歴史学会(Faculty of History)、同 英文学科(Faculty of English)で先行研究の調査を行った。また、同じく、オクスフォード大学教育学部(Department of Education)でも先行研究の調査を行った。同大学では、現役大学生3名(男性1名:ロンドン公立校出身、女性2名:マンチェスター、ケンブリッジ公立校出身)にパイロット・スタディとしてインタビューを行った。これらの成果については、同出張中に打ち合わせを行った本研究課題を継続するオクスフォード大学教育学部(Julie Dearden氏ら)との共同研究での調査の参考とし、それと合わせて分析を行う予定である。なお、この共同研究の一環として2014年5月に同学部大学院生1名を受け入れる。