表題番号:2013A-6194 日付:2014/02/28
研究課題現代の企業のファイナンスとガバナンス:ステークホルダー型モデルからの考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 広田 真一
研究成果概要
本研究の目的は、現代の先進国の企業のファイナンスとガバナンスを、経済学の標準的なパラダイム(株主主権型モデル)ではなく、新たなパラダイム(ステークホルダー型モデル)の見地から分析・考察し、その研究成果を国際的に発信することであった。より具体的には、2012年に出版した著書「株主主権を超えて:ステークホルダー型企業の理論と実証」(東洋経済新報社)の内容を英語で執筆し、それを一冊の英語の著作として出版するというものである。出版社はイギリスのRoutledge社であり、Routledge社との出版契約では、本のタイトルは“Corporate Finance and Governance in Stakeholder Society”、原稿の締め切りの時期は2014年3月末となっている。
 そして、本研究期間においては、この本の全10章のうち6章までの英語での執筆を修了することができた。すなわち、原稿の執筆は順調に進んだことになる。それが可能になったのは、本助成によって日本語の本の1つの章の英語への元翻訳を翻訳業者に依頼できたことが大きい。日本人の研究者が、英語で書籍・論文を英語で執筆するに当たっては、通常、(1)章、節、パラグラフの構成が英語のスタイルになっているか、(2)執筆された英文が「日本語英語」になっていないか、などに注意しなければならない。その意味で、翻訳業者に元翻訳を依頼できたことは、この2つの問題点の解決に大きく寄与した。実際に、翻訳業者の元翻訳を著者の立場から何度か校正し、それをもとにしてその章の原稿を作成することができた。ただし、助成額は申請時の30万円でなく27万円であったため、当初第6章の元翻訳を依頼するはずであったがそれを第3章の元翻訳の依頼に変更した。
 この後、残りの4つの章、前書き、後書きの英語での執筆を行い、来年度中には英語での原稿が完成する予定である。そして、その後、参考文献、脚注等の整理を行い、著者校正を経たのちに、英語の著作が出版される。