表題番号:2013A-6191 日付:2014/04/11
研究課題生命保険契約の保険料未納による無催告失効と復活をめぐる裁判例の再検討と望ましい法的規律の再構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 中村 信男
研究成果概要
本研究は、生命保険契約を対象に、一般的な保険料分割払いの場合において分割保険料が保険契約者の口座残高不足等により期限までに支払われなかった場合に一定の猶予期間経過後に無催告失効とする現在の保険実務と、それを前提に無催告失効の影響を緩和する機能をも果たす生命保険契約の復活制度について近年の関連判例を再検討し、両者に関する合理的な法的規律の再構築を検討するものであり、こうした問題意識から保険料の不払による生命保険契約の無催告失効および失効保険契約の復活を扱った裁判例を再検討し、望ましい法的規律の再構築を検討し解釈論・立法論を展開することを目的とするものとして計画したものである。本研究は、2013年度の計画として、保険契約の無催告失効および失効保険契約の復活に関するわが国の判例の整理・再検討と、対応するEU等の法的規律に関する比較法的研究を行い、次年度以降の研究の基盤を固める作業を行おうとするものであったところ、まずは、わが国の裁判実務および学説の理論状況の整理を行うべく、韓国の生命保険関連の雑誌Monthly Life Insuranceの415号に、邦題で「失効した生命保険契約の復活と最近の関連裁判例に見る課題」と題する下記論文を発表した。そこでは、先行研究で行われた保険契約の失効・復活に対する法的評価について、先行研究では扱われていない最新の最高裁判例を含むものとして裁判例の分析を踏まえた再検討を行い、保険契約の失効とそれを救済するための復活制度の概念を再構築しようと試みたものである。これに対し、EU法制等の比較法的研究は今後の積み残し作業となったが、予定していた一定程度の研究成果は公表することができたものである。今後は、2013年度の研究成果等を踏まえつつ、保険料未納による生命保険契約の無催告失効について関連する最高裁判所の判例等を踏まえつつ保険契約者等の利益保護の観点からする法的規律のあり方を立法論として提言し、かつ、保険契約の無催告失効と実務上連動する契約復活に係る保険法上の関連規定の解釈の再検討を行っていく予定であり、その成果がまとまり次第、順次、公刊物として公表していく所存である。