表題番号:2013A-6179
日付:2014/04/12
研究課題中等教育段階におけるネット安全教育の教授法の調査研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 教育・総合科学学術院 | 教授 | 田中 博之 |
- 研究成果概要
- 本研究は、今日の高度情報通信社会の影の側面である四大ネット危機(ネットいじめ、ネット詐欺、ネット依存、ネット誘引)による犯罪や被害から子どもを守るための教育であるネット安全教育を学校において実践するために必要な、中等教育段階を対象とした教授法のあり方を調査しその特徴を明確化することを目的とした。研究対象とする授業科目は、高等学校における情報科である。
そのために、大阪府内の2つの高等学校における情報科の授業の中で、ネット危機をテーマにしたネット安全教育を実施してもらい、その記録を分析することを通して、実践の特徴を明確化した。
具体的には、以下の実施条件を上記科目での授業実践を通して実証的に明らかにした。
①単元指導計画
5時間構成の単元指導計画を、教育目標と評価規準、ネット犯罪とネット被害の理解、ネットの安全利用の方法の解説、参加型ワークショップの実習、デジタルコンテンツの視聴と討論、発表作品の作成という6分野から構成した。
②ネット危機理解用デジタルコンテンツ
高等学校の生徒の発達段階に応じて、4つのネット危機の特徴を理解させる、イギリスで作成されたビデオ教材を使用して、安全なネット利用の方法を分析できるようにした。
③参加型ワークショップ活動
学校で生徒に体験させる参加型ワークショップ(ドラマ等)を、授業内で実施した。
④ワークシート集
生徒が授業中に記入する各種のワークシート(映像分析用、ワークショップ準備用、発表作品計画用等)を作成し、授業で用いた。
なお、上記で作成した教授法パッケージは、本研究の研究協力校の教員から評価を受け、そのフィードバック情報を元に、パッケージの改善を行い、より実践的・実用的な教授法の解明に生かすことができた。また、上記の実証研究の理論的基盤を形成するために、イギリスとアメリカの学術書及び政府刊行物等の文献研究を同時に実施した。
今後の課題は、ネットいじめやネット依存以外のネット危機を題材としたネット安全教育における教授法の開発を行うことである。