表題番号:2013A-6119 日付:2014/04/10
研究課題1780年代フランスのヴェルジェンウ外交政策の史料学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 森原 隆
研究成果概要
 本研究は、近世フランスの外交書簡を中心にした文書・文献史料の渉猟と解読をとおして、フランス外交政策とくにイギリス、アメリカに対する外交政策の展開を分析することにより、1780年代のヴェルジェンヌ外務卿期のフランス外交の意味や意義を、ヨーロッパだけではなくアメリカ、ロシア、トルコ、エジプトなども含めたグローバルな視点から捉え直そうとするものである。とくに、この1年間は、外務卿、外務係官による外交書簡、司令書、認可書、会計文書などを基に史料分析を行った。実際に現地のフランス外務省の文書館および国立古文書館において、近世フランスの外交、対外政策に関わる大量の外交文書Archives Diplomatiques の大まかな内容や系統についての見通しをたてた。
 研究計画全体は、2014年度科研費基盤研究(C)に申請している17世紀ブルボン王朝以降のフランス外交政策であり、宰相リシュリュー時代からルイ14世時代のコルベール・ド・トルシー外務卿期、さらに18世紀後半のショワズ―ル外務卿期からフランス革命期にかけてであるが、とくに本特定課題研究としては、(1)1780年代18世紀後半から革命期にかけての外務卿ヴェルジェンヌ時代(1774-1787)に焦点をしぼり、史料分析に基づいた当時のフランス外交のあり方を考察した。。そのなかでも、対アメリカ、イギリス、オーストリア、プロシア外交を中心に、外交文書に基づいた政策論議を分析した。今後は、とりわけヴェルジェンヌ時代については、アメリカ独立戦争期(1775-1783年)を中心に対アメリカ、イギリス外交など、当時のアメリカ独立に関わるフランス外交政策の理念や方針を引き続き再検討したいと考えている。また、英米だけではなく、当時の外交関係を、プロイセンやロシア、オーストリアやオスマン帝国やイタリア諸都市、北欧や東欧諸国との関係で捉えなおし、当時の複雑な利害関係の実態を明らかにできればと考えている。さらに当時の外交関係が、その後のフランス革命にいかなる影響を与えていくことになるのか、など多面的にこの問題の考察ができればと考えている。