表題番号:2013A-6118 日付:2014/03/06
研究課題高等教育における女子学生のキャリア形成教育に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 村田 晶子
研究成果概要
昨年に引き続き、高等教育における女子学生のキャリア形成教育に関する研究として実施した本研究においては、①日本と同様の課題を抱えている韓国を訪問し、保育、大学におけるキャリア教育の現状調査を行なうことと②主に演習受講学生の研究活動の一環として実施した「キャリアサロン」の開催を通して女子学生のキャリア形成の課題の考察を実施した。
①韓国では、梨花女子大学におけるキャリア教育プログラム、支援体制に関するヒアリングを実施。1年生から計画的な履修カリキュラムが開かれ、卒業生を対象とした社会人向けの就職支援プログラムも実施されていることが調査により明らかになった。また、これと同時に「マウル」(共同保育・学校)を2箇所訪問し、共同保育、代案学校を拠点とした地域づくり、共同体づくり、子どもと大人の協働的な地域づくりに関するヒアリングを行ない、学校、地域図書館等の施設調査を実施した。
②財団法人日本女性学習財団と演習受講中の学生たちによるコラボレーションで開催した「キャリアサロン×早稲田大学」では、学生とともに社会人の方の参加も得ることができた。その実施の趣旨や実施状況からは、学生たちにとって、とりわけ女性が出会うライフイベントへの見通しや対応について学生だけではなく、自分の将来像を描くに際して身近に感じられる状況の社会人の参加を得られたことがとても重要な意味を持つようであった。世代や業種の多様な参加を得られ交流を促進するラウンドテーブルの開催が有効であると結論付けられた。1点加筆すると社会人の参加を得る際に「保育・託児」の体制の問題が存在する。今回も育児中の父親、両親の参加があったために急遽私が支援して子ども向けの体制を用意した。
 以上、2つの課題に取り組んだのであるが、女子学生はその割合が増加するのに比して卒業後その能力を活用する体制が十分に整備されていないといわざるを得ない。その中でキャリアを積んでいくことが求められ、ライフイベントも見通しながら自らの主体的な判断力や相談していく力の育成などが重要となる。この課題を前に、「アクティブラーニング」がいっそう重要となり、その支援を行なえる大学における教職員の力量形成がさらに求められると思われる。