表題番号:2013A-6081 日付:2014/04/06
研究課題現象としての「石原慎太郎」-橋下現象との連関研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 森 元孝
研究成果概要
本研究により以下の調査を実施した。

調査題目: 「2014年2月の東京都知事選挙、ならびに日本の政治に関するイメージ調査」
実査期間: 2014年02月13日(木)~2014年02月15日(土)
調査方法: インターネットリサーチ
調査対象: インターネットリサーチ会社モニタ624人
サンプルの構成: 東京都内有権者(20歳から79歳まで男性・女性)について、10歳刻みの年齢階級について、男女別各サンプル数52。

調査項目: 
      1.基本属性(性別、年齢、職業)
      2.2月9日実施の東京都知事選挙投票動向ならびに過去6回の投票動向
      3.前都知事「石原慎太郎」についてのイメージ(因子分析用)
      4.過去3回の国政選挙投票動向、前回都知事選挙投票動向、国政レベルでの現在の支持政党
      5.安倍内閣の諸政策(28項目)についての支持度合い
      6.現在の主要政治家27人についてのイメージ(散布図用)

 以上の調査を実施し、すでに度数分布表等を公開している(http://www.f.waseda.jp/wienmoto/Japanese/Study/General/research01.html)。

これにもとづいて、2006年以来実施してきた同種調査との比較分析を現在実施中である。
 
 2013年12月に猪瀬前都知事の辞職に伴い2014年2月に都知事選挙が実施されたことにより、当初予定していた主題とは、別の問題についてもデータを得ることができた。ちなみに、本調査によれば、「棄権」が過去最大の17.1%(2012年)を大きく超え23.9%となった。都政、とりわけ突然の辞任の原因への選挙民の不快感が示されているとも解釈できるように考えた。
 
 上記調査項目3で、過去から毎回実施してきたイメージ因子の分析では、一般的に考えられているイメージの劣化とは異なり、「実行力がある」「筋が通っている」「リーダーシップがある」などの値は、現在も高いことを確認した。

 国政について、現安倍政権についての評価は、58.1%に達し、マスコミ各社の世論調査結果と類似の数値となった。「憲法改正」「特定秘密保護法」「原子力発電再開」については、政権の方向とは反対の意見が多数となっていることを確認した。政権支持へのポジティブイメージに対して、実質的な問題への懐疑、警戒が強くあると考えられる。

 上記調査項目6で、2月の東京都知事選挙において桝添候補の対立候補細川護煕を支持した小泉純一郎についてのイメージは、過去同種の調査で得られた好感度の高さが、現在も維持されていることを確認した(55.5%)。これに対して、本調査の主題でもあった橋下徹についてのイメージは、過去の高い好感度から、「あまりよくない」(29.2%)、「わるい」(28.0%)となり、同種のデータを取り出して以来、最も悪い数値となった。興味深いのは、石原慎太郎についての同じ質問では、「よい」(9.9%)、「まぁよい」(40.7%)であり、過去ほど高い位置にはないが、まだなおこの人については、一定の好感度が維持されていることがわかった。「右翼的」「独裁的」というイメージも高いが、好感を抱く選挙民がまだなお厚いことが確認できた。

 刊行予定の『現象としての石原慎太郎』を完成させるための最終的な補足データを得ることができた。