表題番号:2013A-6047 日付:2014/04/10
研究課題日独テレビ会議場面における多人数コミュニケーションとドイツ語学習プロセス
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 教授 星井 牧子
研究成果概要
 外国語の習得には、目標言語でのインプットおよびアウトプットの機会が必要であり、目標言語を用いたコミュニケーションが必要になる学習環境の構築が重要である。日本のドイツ語学習環境は、多くの場合、従来の教室の枠組みでの授業場面に限られることが多く、いわゆる「オーセンティックな」コミュニケーションとしてドイツ語を使う場は限られているが、ICT技術の発達により、外国語教育・ドイツ語教育の現場でも、従来の教室の枠を超え、授業の場に「オーセンティックな」コミュニケーション空間を組み込むことが可能になっている。
 本研究は、研究代表者がベルリン・フンボルト大学のDr. Nicole Schumacherと2009年より行っている共同研究を継続・発展させるため、テレビ会議による多人数コミュニケーションについて、発話の訂正・修正シークエンスを手掛かりとして、実際の言語使用の場で発話構築および言語学習プロセスが、話者間においてどのように実現されているかを分析し、発話・理解プロセスとインタラクションの「場」のあり方との関連について考察を行うための基盤を構築することを目指した。
 分析対象としたのは、早稲田大学・フンボルト大学間で実施したドイツ語によるテレビ会議場面のコミュニケーション。2013年度春学期に実施した計7回のテレビ会議の録画資料を文字化し、分析のための基礎資料を作成した。文字化の際には、ドイツ語圏の会話分析/談話分析で文字化のスタンダードとして使われているGATシステムに従い、転記用ソフトウェアEXMARaLDAを使用して文字化を行った。また、テレビ会議を用いた外国語学習について、会議の参加者に対しアンケートを実施した。日本側参加者におこなったアンケート(日本語)については、ドイツ語へ翻訳し、分析のための基基盤となるデータを構築した。また、2014年3月にはベルリン・フンボルト大学の共同研究者 Dr. Nicole Schumacher氏とデータ分析についての意見交換と今後の研究の進め方に関する打ち合わせを行った。
 本研究により得られたデータを用い、今後、訂正/修正および共同発話シークエンスを分析し、多人数参加のテレビ会議コミュニケーション場面における発話構築プロセスに関する考察を継続する。