表題番号:2013A-6046
日付:2014/07/10
研究課題1681年フランス海事王令第5編に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 | 教授 | 箱井 崇史 |
- 研究成果概要
- 報告者は、1681年のフランス海事王令について全713箇条の翻訳を公表しており、その各章について実質的な研究を始めたいと考えていた。本研究では、助成申請金額が30万円ときわめて限られていることから、科研費申請への助走として、特に海商法とは距離のある第5編「漁業」の諸規定をテーマとして取り上げた。
これは、拙訳に対して鹿児島大学水産学部長の松岡教授よりいくつかのご示唆をいただき、水産学の観点を採り入れて拙訳を改訳する必要があると感じていたからである。本研究の過程においても、鹿児島大学水産学部を訪問して、基本的な訳語について直接に意見交換をするとともに、関連する水産学的知見をご教示いただくことができた。
また、研究期間内に、わが国の漁業法および漁法・漁具に関する基本的な資料を入手することができた。なにぶん、17世紀の法文が前提とする漁業と今日のわが国の漁業では大きな相違があって、ただちに当時の漁法等に関する規定の正確な理解につながるわけではないが、漁法や漁具の歴史的変遷に関する資料もわずかながら入手することができ、引き続いて研究を継続していきたい。残念であったのは、関連するフランスの資料がわが国ではまったく入手し得なかったことである。
本研究の、現時点での「成果」といえば、本研究を基礎とする研究テーマで、科研費の申請を行うことができたことである。科研費が採択されれば、当該研究についてフランスでの資料収集も計画しているので、あわせて17世紀フランスの「漁業」関係の資料を探索して、本研究の継続に役立てたいと考えている。
本研究の成果は、現時点ではなお困難であるものの、既発表の1681年フランス海事王令第5編について全面的な改訳として発表したいと考えている。これは、科研費研究で予定している海事王令第1編の研究とセットになるものであって、おそらくはライフワークとなるであろう同海事王令全体の研究の一部をなすことになる。これは、海事王令の713箇条の条文全体の改訳であるとともに、各編についての詳細な分析を行おうとするものである。