表題番号:2013A-6038 日付:2014/03/20
研究課題政策評価結果の政策形成における活用の実態についての調査研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 山田 治徳
研究成果概要
 本研究の目的は、政策評価結果の政策形成における活用の実態を明らかにすることで、官民協働の進行する中での政策形成のあり方と可能性を探ることにある。
 政策評価制度の目的は、①評価結果の政策への適切な反映を図ること、②効果的かつ効率的な行政の推進に資すること、③行政活動についての説明責任を全うすることにある。政策評価は、既に導入期から活用期に移ってきており、政策評価における関心もその活用に移ってきている。
 こうした中で、法律(「行政機関が行う政策の評価に関する法律」)に基づき政策評価を導入している国においては、政策評価結果の活用状況については各省が毎年度「政策評価結果の政策への反映状況報告」として公表している。しかしながら地方公共団体においては、その活用状況についてはほとんど明らかにされていない。また明らかになっているところもその多くは、断片的な個別事例の紹介であったり、予算編成での活用や議会への説明など予算管理やガバナンスにおける活用について、「イエス・ノー」方式で概略が明らかになっているに過ぎない。肝心の政策形成への反映については「ブラックボックス」化されているのが現実である。
 そこで本研究では、地方公共団体における政策評価結果の活用の実態について、単なる個別事例の紹介ではなく、そのための具体的な仕組みや制度、さらにはその背景にある政策評価に対する考え方などを明らかにすることを目的とする。しかし本研究の一義的な目的はその先にある。かつては行政部門の専管事項であった政策形成は、地方分権の推進、さらには住民参加、住民参画、官民協働の流れの中で、もはや行政部門の専管ではなくなってきている。つまり内的な仕組みとして導入された政策評価もこうした流れとは無縁ではありえず、当然の帰結として、政策評価結果の活用についても同様である。すなわち地方公共団体における政策評価結果の活用について明らかにすることで、官民協働時代における政策形成のあり方とその可能性を探ることを本研究の一義的な目的とする。
 このように本研究は、従来の研究では単独の過程として研究対象とされてきた政策評価について、評価結果の活用状況に焦点を当てることで、動態的過程として捉えるところに特色がある。これら本研究の目的や特色を踏まえ、当該年度については本格的な研究の前段階としての事前調査を主として行った。事前調査の内容は、俯瞰的且つマクロ的な観点から当該問題を把握することを目的として、理論的、実証的な文献資料を収集、整理することに加え、ミクロ的に国や地方自治体等における制度の実勢やその背景を把握することを目的として、新聞記事、自治体広報、議会議事録等の1次資料の収集を行った。今後は各事例の概要、全体像を把握したうえで、関係者へのインタビューを行うことにより、より正確な事実および実態の把握と理解に務めることとしたい。