表題番号:2013A-048 日付:2014/04/07
研究課題Bass予想の幾何学的アプローチ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 小山 晃
研究成果概要
Bass予想を議論するために、J. Dydak(University of Tennessee, USA;期間:8月26日~9月19日)及びR. Jimenez(UNAM, Mexico;期間:9月7日~13日)を招聘して共同研究を行った。主な手法は、シェイプ理論における基点の問題に関すると深く関わるJ. Dydakの反例をも位置いて、Nielsen不動点定理の周辺と群のコホモロジー群の問題を否定的に解決することであった。第一報としてのレポートはまとめる進展は見たが、論文に足りる研究を完結するに至らなかった。これまでもJ. Dydakとは様々な共同研究をして生きた。その中で懸案の共同論文を一編であるが、完成することができた。
また、この補助で第6回日本-メキシコ トポロジー合同研究集会に参加し、やはり長年の懸案であった閉曲面の2つのグラフの積空間への埋め込みに関する研究成果の報告を行った。主定理は
「2つのグラフ$G_1$と$G_2$の積空間$G_1 \times G_2$に埋め込まれた閉曲面$M$について、(1) $M$の1次元ホモロジー群の階数が3以下ならば、それぞれの因子空間$G_1$と$G_2$への射影は単純閉曲線である。(2) $M$の1次元ホモロジー群の階数が4ならば、それぞれの因子空間$G_1$と$G_2$への射影は$\theta$曲線である。結果として$M$は2つのトーラスの連結和に限る。」
である。共著者のJ. Krasinkiewicz及びS. Spiez(いずれもポーランド科学アカデミー数学研究所)とは10年以上にわたってこの埋蔵問題を共同で研究してきたが、これとこれまで我々が行ってきた閉曲面の2つのグラフの積空間への埋め込み問題に関してすべての一覧表が完成した。この報告は現在国際誌に投稿中である。今後の課題として、
(1) グラフの2次対称積に埋め込まれた閉曲面を1次元ホモロジー群の階数を用いて如何に特徴付けるか
(2) 閉曲面とは対極にある野生的空間が2つのメンガー曲線の積空間へ埋め込み可能となる必要条件をコホモロジー次元論を用いて如何に特徴付けるか
がある。