表題番号:2013A-046 日付:2015/05/13
研究課題非線形偏微分方程式の大域的理論の新展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 小薗 英雄
研究成果概要
(i) 一般領域におけるStoeks 作用素の最大正則性
Stokes 作用素のq-乗可積分空間理論はq=2 の場合を除き、一般の領域では定義が出来ないことが知られている。そこで、反例が構成されている非コンパクトな境界をもつn 次元空間内の非有界領域を取り扱った。通常のq-乗可積分空間に代わるものとして、2乗可積分空間とq-乗可積分指数の和および共通部分からなる関数空間を導入した。これらの関数空間はともに、関数自身の無限遠方では減衰の速度が2乗可積分関数と同程度であることを要請したものである。その結果、領域の境界が一様にC1-級であれば、非コンパクト領域においてもStokes 作用素はこれらの関数空間において定義可能であり、正則半群を生成するとともに最大正則性定理を満たすことが明らかにされた。
(ii) Navier-Stokes 方程式の弱解の正則性に関する新たな指標
3次元有界領域におけるNavier-Stokes 方程式の弱解で強エネルギー不等式満たすクラスの正則性を考察した。従来はSerrin によって提唱された時空間におけるスケール不変な可積分空間において正則性の指標が確立されていたが、本研究では運動エネルギーとエネルギー散逸量に着目した。すなわち、前者に対しては指数が1/2 より大きな時間変数のヘルダー連続関数であり、また後者に対しては積分量の時間爆発レートが-1/2 より遅ければ、弱解が滑らかであることを証明した。これら2つの指標は、時空間の関数のセミノルムと見なすとき、スケール変換則に関して不変であることに注意が必要である。