表題番号:2013A-044 日付:2014/04/11
研究課題歩行時の上肢と下肢の協調性を高める歩行訓練ロボットの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 藤江 正克
研究成果概要
 これまで,高齢者の歩行の安定性が低下する要因として,歩行中の上肢の運動,特に体幹の回旋量が減少することが明らかになっている.高齢者が上肢と下肢を連動させるタイミング等の協調的に動作させるコツを失ってしまったため,下肢の振り出しが適切に促進されず,つまずき等の転倒を起こしてしまうことが原因である.そこで,本研究では,上肢と下肢が協調して動作する回旋運動をモデル化し,そのモデルを取り入れたロボットにより,上肢と下肢を結ぶ骨盤動作のみをアシストをすることで,つまずき等の転倒を予防した高齢者の歩行動作を誘導する訓練システムを開発する.
 本研究では,上肢の運動と下肢の運動を連動させることで,下肢の振り出しを促進し,歩容を改善させる歩行訓練システムの研究を行う.本研究で提案する歩行訓練システムを開発するため,上肢と下肢を連動させるタイミング等の協調的に動作させる運動力学的な条件の工学的な解明,および,そのモデルに基づいて適切に下肢の振り出しをアシストするロボットの開発を実施する.この際,上肢と下肢にそれぞれ機械的なアシストを加え連動させる場合では,システム全体の大型化や使用者の装着の手間等の負担が大きくなる.そこで,本研究では,上肢と下肢を結ぶ骨盤に注目し,上肢の回旋角度の情報に基づいて,骨盤動作のみをアシストすることで,下肢の回旋角度を誘導する手法を開発する.
 上記の内容に対して,上肢と下肢を連動させるタイミング等の協調的に動作させる運動力学条件の工学的解明と上肢と下肢が協調して動作する体幹の回旋運動モデルの構築を行った.運動力学条件の工学的解明では,高齢者の歩行中の運動学的パラメータを変化させることによって,体幹の回旋するタイミングや量,どのように変化しているかを計測し,分析を行った.また,体幹の回旋運動モデルの構築では,明らかとなった運動力学条件に基づき,上肢の回旋運動の情報と下肢の回旋運動の情報が逆位相になるような骨盤の回旋運動を決定する運動モデルの構築を行った.