表題番号:2013A-011 日付:2014/03/14
研究課題深谷博治旧蔵文書「原史料の部」の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 准教授 真辺 将之
研究成果概要
本年度は深谷博治旧蔵文書のうち、原史料にあたる約100点の整理・目録化と翻刻、内容の検討を行なった。仮目録の番号でいうと、390から486にあたる史料である。整理の結果、原史料は大きくわけて二つに分かれていることがわかった。
ひとつは、寺島宗則宛の書簡を中心とする明治期の政治家の書翰群である。これらについては内容細目を再録した目録を作成するとともに、書翰全文の翻刻作業を行なった。なかには未紹介の書翰も多く、今後これらについては何らかの形で発表したいと考えている。
またもうひとつは、明治初年の度会府・度会県の民政関係のものであり、浦田長民が関与していたと思われるものが多いことから、これらは「浦田長民関係文書」と名付けるのがふさわしいとの結論に至った。特に民政関係のものが多く、内容的には、管内の住民からの陳情や、それに対する対応などを審議した形跡を窺えるものが多く、明治初年の地方民政において、民意・民情が非常に重視されていたことを窺える史料が多く、明治初年の地方行政を考える上で非常に貴重な史料であると判明した。また深谷博治という人物の史学史的検討という点からすると、これらの史料を深谷がどのような経緯で入手したのか、またこれらがどのように深谷の著作物に使用されているのかを検討していく必要があるが、時間が足りず、これらについては今後の課題となった。
また原史料以外の深谷旧蔵文書についても、前年度までに目録化が完了していなかったものや、細目の入力が粗かったものについて、より詳細な記述を心がけて目録の整備を行なった。この作業においては、大庭裕介氏、渡邊桂子氏の助力を得た。ただし、予算の都合もあり、いまだ完了にはいったっていない。以上の作業結果を踏まえ、今後は、内容ごとに目録番号と資料群の構造を再構成させ、目録を最終的に完成させることが課題となる。その上で、目録のWEB公開と、史料の図書館への移管を実現させたいと考えている。