表題番号:2012B-258 日付:2013/04/11
研究課題ポスト「ガラパゴス化論」の情報通信政策-技術革新とグローバル競争への対応-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 教授 三友 仁志
研究成果概要
グローバルネットワーク時代におけるわが国の情報通信産業について、技術革新および市場構造変化が著しい産業の特質をあきらかにすることにより、公正競争のあり方、さらには産業発展を通じた国際競争力の強化を達成するための政策の方向性を提示することを目的とする。市場環境が急速に変化するなかで、当初の予定通り、以下の3点について研究を進めたが、特に、2.について重点的に研究を進めた。また、これと並行して、災害等において、情報通信の有効活用に向けた政策支援の枠組みについて検討を加え、新たな研究の方向性を見出した。
1. 利用者の選好からみた携帯電話サービス市場の特質の解明
情報通信市場においては、スマートフォンをはじめとした新たなサービスが台頭しており、固定および移動といった従来の分類が急速に変化し、技術の融合が生じている。その変化は携帯電話サービス市場において顕著であるため、まずサービスの利用面における分析をおこない、利用者の選好からみた市場の特質をあきらかにした。
2. 供給者のビジネスモデル等の分析を通じた市場構造の検討
供給者においては、技術の急速な変化に対応した新しいサービスの提供によって市場への影響力を維持するとともに、消費者の選好の変化にも対応しなければならない。端末、通信ネットワーク、プラットフォーム、コンテンツ等、携帯電話サービスに関するすべてのレイヤーにおける供給者のビジネスモデルを精査することによって、今後の企業戦略等を精査し、供給側からみた情報通信市場の構造変化をあきらかにした。
3.携帯電話サービス市場における競争政策の妥当性の検証
 把握された市場構造をもとに現在の競争政策の妥当性を検証し、ガラパゴスと揶揄された我が国携帯電話サービス市場を主たる対象に、国際競争力確保に向けた、技術融合時代における望ましい情報通信政策の在り方について提言を行う。
 研究成果については、すでに国内外の学会で報告を行っており、関連学術誌に投稿している。