表題番号:2012B-247 日付:2013/04/05
研究課題オープンウォータースイミング選手のスイミングフォームの特徴について
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 村岡 功
研究成果概要
【結果概要】
 本研究課題について、以下の4つの実験を行った。
 実験1では、男子ライフセーバー13名を対象に、流水槽において、50mを35秒のペースで、クロール泳とヘッドアップ(HU)泳を行わせた。これらのスイミングフォームを泳者の左右側方からビデオカメラで撮影することにより、左右のストローク頻度(SR)、ストローク長(SL)、1ストロークの局面時間比率、IdC(Index of coordination=腕の協調性)を算出し、比較した。その結果、HU泳では前方確認をするために片方の手でストレッチ局面時間比率を多くし、もう片方の手で推進するために推進局面時間比率を多くしており、その結果、左右非対称な腕の協調性を示し、ストローク頻度を高くして泳いでいることが明らかとなった。本実験結果は水泳水中運動学会2012年次大会でポスター発表を行った。今後、Journal of Sports Scienceに投稿予定である。
 実験2では、男子ライフセーバー10名を対象に、50m室内プールで全力泳、80%全力泳、50%全力泳をクロール泳、HU泳の各2種類の泳ぎ方で行わせた。これらのスイミングフォームを水中カメラ2台、水上カメラ2台で撮影することにより、スイミングフォームの特徴を明らかにした。本実験において80% HU泳を行った際の手部の軌跡については、左右で異なる軌跡を示した。右手は入水後、グライド動作を行うことで、ヘッドアップを行いやすくしており、一方左手では、入水後すぐに後方に手を移動させ、効率良く推進力を生む手部の動きを行っていた。これらの結果については、第8回Active Life国際シンポジウムでポスター発表を行った。また、80%クロール泳を行った際の手部の軌跡と比較すると、HU泳における手部の軌跡は、右手のSLが有意に長く、左手のSLが有意に短いという結果であった。これらの結果については、European College of Sport Scienceでポスター発表を行う予定である。それ以外の試技については現在データ分析中であり、全データ分析終了後、Journal of Sports Scienceに投稿予定である。
 実験3では、男子ライフセーバー10名を対象に、被験者の手部に圧力センサーを装着し、流水槽で実験2と同様に全力泳、80%全力泳、50%全力泳をクロール、ヘッドアップの各2種類の泳ぎ方で行わせた。これらのスイミングフォームを泳者の左右側方からビデオカメラで撮影することにより、1ストローク中の推進力変動を明らかにする実験を行った。実験は全て終了し、現在データ解析中である。分析が終了後、国際学会での発表、論文投稿をする予定である。
 実験4では、男子ライフセーバー10名を対象に、被験者の左右の上腕二頭筋・三頭筋、大胸筋、尺側手根屈筋に防水筋電計を装着し、実験2と同様に50m室内プールで全力泳、80%全力泳、50%全力泳をクロール、ヘッドアップの各2種類の泳ぎ方で行わせた。これらのスイミングフォームを水中カメラ2台、水上カメラ2台で撮影し、筋電図を測定することにより、各スイミングフォームの筋活動を明らかにする実験を行った。実験は全て終了し、現在データ解析中である。分析が終了後、国際学会での発表、論文投稿をする予定である。