表題番号:2012B-230 日付:2013/04/12
研究課題仮想空間と連動したタンジブル教材を用いた空間的思考力の横断的調査研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 准教授 森田 裕介
(連携研究者) 人間科学学術院 助手 瀬戸崎典夫
研究成果概要
 本研究課題では,「仮想現実とタンジブルの技術を用いて空間認識能力を育成する科学教育の方法」に関する,これまでの研究成果を公表することを目的とした.
 まず,「Science Class using Interactive Multimedia and Tangible Learning System: A Pilot Study」では,中学生107人を対象としてタンジブル教材の有用性を検討した.iPadを用いたCGシミュレーションの提示とタンジブル教材の有用性が検証された.また,これまでの研究の検証をすべく,広島県三原市内の公立中学校生徒を対象として,空間的思考力に関する調査を実施した.成果はまだ公表されていない.次に,「タブレット端末を活用した天体学習用ARテキストの評価」では, AR(拡張現実)の技術を用いて,実空間にある紙媒体のテキストに,コンピュータグラフィックスで構成した仮想空間を重畳提示させるARテキストを開発した.また,iPadを用いてこのコンテンツを提示し,その有用性を評価した.最後に「多視点型天体教材を用いた授業実践における能動的学習の効果」では,タンジブル教材における模型教材の有用性を明らかにした.なお,これらの研究成果の一部は,「教育システム・ツールの開発研究の方法」として,書籍にまとめられ出版された.
 一方で,近年,米国で注目されている「学習科学(Learning Sciences)」の第一人者であるミシガン大学アナーバー校Barry Fishman教授を訪問した.これまでの研究成果について議論を行った結果,教育実践における研究方法として,「デザイン研究」を用いることでさらなる成果が望めることが明らかになった.
 今後の課題は,タンジブル教材を用いた空間認識力の育成を,理科だけではなく,数学,技術科,情報科などの領域に拡大し,領域横断的な能力育成のカリキュラムとして体系だてることである.