表題番号:2012B-200 日付:2013/03/29
研究課題光ファイバ/導波路への側方入射技術の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授(任期付) 坪川 信
研究成果概要
1.概要説明
 光ファイバなどの光導波路は端面から入力した光については低損失な伝搬が可能であるが、側面からの入射光は透過してしまい殆ど導波できない。一方、側面からの光を取り込むことが出来れば、太陽光の集光器や照明ガイド、センサなど数多くの利用が考えられるため、この導波光への変換の効率(集光率)を向上させるための研究がなされている。本研究では平板型導波路と光ファイバに新たに散乱層を付与することで集光率を改善させる構造を提案し、シミュレーション評価を行った。Mie散乱を生じさせる散乱層構造を有するスラブ型導波路では5mm程度の短い導波路で40%を超える集光率が得られるものの10mm以上で長さに対し逆比例関係になり、集光に寄与する有効長が10mm程度と短く、長尺な導波路への拡張が困難なことが分かった。同時に光波長と入射角度への依存性は低いことが判明した。これに対し円柱形の特性を活かし散乱層を設けた光ファイバでは、スラブ導波路に比べ、有効長が100mm程度と約1桁改善され、同時に最大集効率も10%程度上昇した。しかしながら、まだ数十cmを超える長さでは逆比例の特性が現れるため、実用的な用途には更なる改良策が望まれる。光ファイバ型の特徴として一方向だけではなく周囲からの光を同時に取り込める利点がある。これに関して360度の入射角に対する周効効率の評価も実施した。その結果、提案の構造では60度間隔の3方向に対して指向性を有した受光が可能なことが分かった。
また、別なアプローチとして、光ファイバや導波路の形状を変形させることにより外部光の取り込みを改善する方法がある。簡単な変形モデルを作成し、変形が集光率に与える影響も分析した。その結果、集光率の改善度合いは散乱層をも散る手法に比べ1桁程度低く、変形単独では効果が小さいことが確認された。変形の利用に関しては、多様な形状やスケールに対する依存性が強いため、今後多様なモデルを構築しシミュレーション評価を継続していく予定である。上記に関して得られた成果は、電子通信学会全国大会にて発表を行い、併行して現在学術論文に投稿中である。

2.決算内訳
 予算 400000円、使用額 400000円
 【内訳】
 計算用PC 一式 209508円
 コピー機トナー、文具類 68892円
 会議出張旅費及び宿泊費 107600円(2名分)
 会議参加・資料費 14000円(2名分)