表題番号:2012B-196 日付:2013/03/14
研究課題機械学習による準線形学習ネットワークの構成とその応用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 古月 敬之
研究成果概要
本研究では、準線形学習ネットワークとして利用しやすい線形回帰構造を有する準線形サポートベクターマシン(SVM)の構築と応用を行っている。具体的に、
① 準線形SVMの構築について、非線形システムを効率的に近似できる補間によるマルチ局所線形モデルを構築し、SVM学習法を適用することによって、線形カーネルと非線形カーネルの間に調整できる準線形カーネルを持つ準線形SVMの構築を構築する。クラスタリングなどの技術で、対象システムの入力空間の局所的線形特性を持つ分割情報を抽出し、これらの情報に基づいて、応用対象ごとに最適なカーネルを合成し、その合成カーネルでSVMの学習を通して準線形SVMの知的構成と機械学習による体系的な学習を実現する。一例として、制御系設計などに利用しやすい構造を持つ準線形SVMを構築した。まず、応用対象の物理の法則などの数式で表せる先見情報だけでなく、応用に望ましいネットワーク構造(例えば、制御系設計を容易にするための制御入力変数に関し線形なるようなネットワーク構造)という利用しやすい構造(Macro-Net)を取り入れた利用しやすい準線形回帰モデルを構成し、これを基底関数(RBF)の補間によるマルチ局所線形化し、さらにSVMの学習を適用することによって、利用しやすい構造を有する準線形SVMを構築した。
② 応用について、準線形SVMの線形特性を生かした非線形ダイナミカルシステムの適応制御を例として行った。線形予測器と非線形予測器を同時に同定するための準線形モデリング技術、安定な線形適応制御技術と高精度の非線形適応制御技術、制御系の安定性を確保しながら制御精度を向上するスイッチング制御技術の開発を行った。具体的に、制御系の安定性を示す指標を導入したスイッチング機構により、制御系の安定性に余裕があるときには、非線形適応制御系を中心にして制御精度を向上させ、制御系の安定性が欠如したときには、線形適応制御系を中心にして制御系の安定性を向上させた。このように安定な線形適応制御と高精度の非線形適応制御を自動的に切換えることによって、準線形SVMという一つのモデルで制御系の安定性を保証しながら制御精度を向上することを実現した。