表題番号:2012B-195 日付:2013/04/10
研究課題進化型PSOハードウェアによる高速制御用システムLSI
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 馬場 孝明
研究成果概要
進化型PSOハードウェアによる高速制御用システムLSIとして、本研究では、以下の取り組みを行つた。

群知能は、最適化問題を効率的かつ正確に解くことのできるアルゴリズムであり、PSO(Particle Swarm Optimization)アルゴリズムとは、鳥や魚、昆虫等の群れの動きに倣った群知能の一種である。このアルゴリズムは、始に探索領域において「Particle(粒子)」と呼ばれる探索点をランダムに複数配置する。このとき、粒子は現在の“位置”(状態量)と“速度”の情報を有している。その後、ランダムに配置された粒子の中で最適な“位置”にある粒子に向かって、他の粒子が“位置”と“速度”を更新しながら集まることで、漸近的に最適解への収束・導出ができる手法である。
具体的な取り組みとして、我々は上記のPSOアルゴリズムを改良し、非線形な収束問題を効率よく解く方式の提案および柔軟なPSOシステム設計に対応できるPSOハードウエアのアーキテクチャの提案をした。前者では、非線形な収束問題を効率よく解く方式である”Co-evolutionary Strategyアルゴリズム”をFIRアダプティブデジタルフィルターの係数確定・探索問題に応用し、より安定的に抑圧された阻止帯域を実現できることを実証した。後者では、対象とする様々なPSO応用に対して、単一の進化型ハードウエア(PSOプロセッサ)で柔軟に対応できるアーキテクチャを具体的なハードウエアとしてFPGA上に実現した。これらの結果から、本研究で新しく提案したアルゴリズムと実現したハードウエア構成手法は、従来のPSO収束制御システムと比べてその計算精度と動作速度の向上みならず応用に対する汎用性も大幅に改善できることを示したといえる。すなわち、PSOを高速かつ柔軟なシステム性能が要求される具体的なリアルタイムシステムへの応用に向けては、この進化型PSOハードウェアによる高速制御用LSIは、極めて有効なアプローチであることが明らとなった。次の取り組みとしては、この高速制御用LSI(FPGA)をより汎用性の高いハードウエア・アーキテクチャとしてさらに進化させてゆく計画である。