表題番号:2012B-169 日付:2013/04/03
研究課題成体神経新生促進因子スクリーニングのためのin vivoモニタリング系の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 大島 登志男
研究成果概要
成体脳での神経新生は、失われた神経機能を回復させる神経再生医療の面で注目されている。主に神経前駆細胞を補う細胞療法と、神経新生に係わる因子を用いて、内在性の神経新生機能を促進することで神経再生を成し遂げようとする、神経再生因子療法の2つに大別される。後者の場合、どの様な因子が有用であるかの研究が盛んに行われている。本研究では、生物モデルであるゼブラフィッシュ成魚で神経新生をモニタリング出来るラインを確立し、成体での神経新生促進因子を個体が生きたままスクリーニング出来るシステムを構築することを目的とする。具体的には、神経幹細胞特異的にルシフェラーゼと蛍光タンパク質を発現させ、ルシフェリンを化学発光させ、検出器IVISを用いて生きたままで成体脳での神経新生を経時的にモニタリングする系を確立することを目指した。手法としてはGal4-UASシステムを応用し、神経幹細胞特異的Gal4を発現しているTgゼブラフュッシュとUSAによりルシフェラーゼと蛍光タンパク質の発現が調整されているTgゼブラフィッシュの両系統を交配して得る。
神経幹細胞のマーカーであるGFAPの遺伝子発現制御領域下でGal4の改良型であるGFFを発現させるTgライン(GFAP:GFF)を作成した。 このGFAP:GFF Tg fishとUAS-GFP fishと交配したF1を生後3日、1ヵ月、3か月齢でGFPの発現がGFAPの発現と同様であるかを検討した。方法として、1) GFAP-GFP fishでのGFP発現と比較を行う。2) GFAP陽性細胞の別のマーカーであるBLBPの免疫染色で確認した。1),2)の方法により、内在性のGFAP陽性の神経幹細胞と同様の発現を示すTg fishラインが得られたことが確認できた。さらにUAS下にルシフェラーゼと蛍光タンパク質を発現させるコンストラクトを作成した。今後このコンストラクトをGFAP:GFF Tg fishの受精卵に導入して一過性に発現させ、Gal4-UAS systemが機能するかを確認した上で、UAS Tg fishの作成を行なう計画である。