表題番号:2012B-138 日付:2014/03/02
研究課題安価な鉄酸化物を用いた低温作動高活性水性ガスシフト触媒の創出と機能解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 関根 泰
研究成果概要
水性ガスシフト反応はH2の精製や合成ガスのH2/CO比の調整に用いられる反応であり、COとH2Oを反応させ、H2とCO2を生成する反応である。我々は、これまでの予備的な検討において、1.1 wt%Pdを鉄酸化物に担持した触媒について、Pd、Kの両者が担持されていると高活性という特異的な結果を見出した。今回、本特定課題においては、鉄系酸化物をベースとした触媒、さらにCo3O4を担体とした触媒についても詳細に検討した。Pdの担持量を振った際に、Pdの担持量が少量である触媒ではKが担持されていなくてもメタネーションは著しいがある程度活性が高いという結果が得られた。これらより、Pd、Kが別々に担体に作用している可能性を示唆した。Pdは担体の還元を促進する因子、Kは担体の還元を抑制する因子であると推測する。また、Pdの担持量を少量にしても活性があることから、今まで研究されてきたFe系触媒とは反応機構や活性点が異なり、Pdは単に担体の還元促進にしか寄与していない可能性が示唆された。また、Fe系触媒と異なり、メタネーションや炭素析出が生じたことからコバルトを使うことによる弊害も生じた。また、活性点についてであるが、Pdは単に補佐であり、Co自体が活性点である可能性が高いと考える。この視点から、TPR、XRD、XAFSでの結果を踏まえ、CoOとCo metalの間が活性点である可能性が高く、またPdとCoは合金化は合金化している可能性は高いが、高活性の原因ではないと示唆された。今後、メタネーションや炭素析出の現象の原因を今後検討していく必要があり、またPdの担持量が少量でも高活性であることからPd以外の担持金属についても検討していく必要がある。 また、Pd/K/Fe2O3の高活性の原因追究として、Cs担持触媒、Na担持触媒についてXAFS、STEMを用いて詳細に検討したところ、Cs担持触媒ではCs/Pdのmol比によりPdの微細構造が異なっている可能性が示唆され、Pdの粒子径の影響が強いと考えられ、この結果を類推適用した結果、alkali/Pdのmol比=2で最も高活性の高いPd/K/Fe2O3についても粒子径が最も小さいと考えられる。