表題番号:2012B-111 日付:2013/04/02
研究課題鉄筋工事の品質検査を目的とした3次元スキャナー計測と設計図の自動照合に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 嘉納 成男
研究成果概要
 本研究では、鉄筋工事における品質管理を3次元スキャナーによる点群を解析することによって、実施する技術の開発を目的とした。
 研究では、実際の工事現場で計測した点群について以下の操作を行う技術を開発した。
 (1)計測した点群について、鉄筋の後部に発生するノイズを除去する技術
 (2)柱や梁の鉄筋が網状に複雑に組み合わさっている状況について、それを構成する鉄筋を特定して、それぞれの鉄筋を取り出す技術
 (3)柱や梁から取り出した鉄筋の点群に基づいて、鉄筋の径を求める技術
 なお、本研究では、建築工事で使用する鉄筋の柱や梁をほぼ3mm間隔で計測することを前提とした。
 上記のシステム開発は、3次元CADであるMicroStationのAdd-inのプログラムとして作成した。3次元CADにおいて、数百万の点群を読み込むと、CADシステムの操作が緩慢になるため、点群はすべてバックグラウンドのメモリー上に保管し、必要に応じてその一部の点群をCAD画面上に表示して、その形状の確認や処理に必要な点群の領域を定めるようにした。
 本研究の成果から、鉄筋を3次元スキャナーで計測することによって、その鉄筋の径および鉄筋の間隔を品質検査に十分な精度で、正確に把握することができることを確認した。また、複雑に配筋された柱や梁においては、手前の鉄筋によって、背後の鉄筋が隠れる現象が起こるため、少なくとも4か所程度から3次元スキャナーで計測する必要があることが分かった。また、現在では、型枠を組みながら鉄筋を配筋することも行われるため、2方向程度からしか計測できない場合もある。このため、3次元計測を前提とした検査方式では、配筋の方法を変更して、配筋が完成後に周囲から配筋状態を計測し得る仕組みが必要であると言える。これを行うことによって、鉄筋の検査を従来のようにヒューマンエラーが介在する可能性がある管理者による目視の検査方法から客観的なデータに基づく品質管理が可能になると考えられる。