表題番号:2012B-094 日付:2013/04/26
研究課題機械学習に基づくNR型画質推定
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 甲藤 二郎
研究成果概要
画像の画質評価尺度として、PSNRの計測には原画を用意する必要があるが、YouTubeに代表されるCGM(Consumer Generated Media)映像では原画を用意することが困難な場合が多い。そこで申請者はPSNRを変化させた多数の圧縮画像をSVM(Support Vector Machine)に学習させ、さらに顕著性マップを用いて、画像を顕著性領域と非顕著領域に分割することで推定精度の改善を図るブラインド(NR型:non-reference型)画質推定に関する検討を進めてきた。また、顕著性マップでは全体的に平坦な画像もしくは複雑な画像であっても相対的に顕著性領域の検出を試みるため、適切な分割が行われず、精度が低下することがあった。そこで、本申請ではまた、動画において各フレームを杭州貼れ別を用いて2つに分割し、領域毎にブラインドPSNR推定を行う方式の検討も行った。それによって、顕著性マップによる分割が失敗する場合でも、安定したPSNR推定が行えることを確認した。

また、画像の高能率符号化方式では、低ビットレート時にブロック処理に起因したブロック歪みが圧縮画像中にしばしば発生する。圧縮画像の客観画質評価尺度としてPSNRやSSIMがよく用いられているが、これらはブロック歪みに影響された画質劣化を評価することは難しく、主観画質評価とは大きな差が発生してしまう。また、圧縮画像におけるブロック歪みの影響を評価する様々な手法が提案されているが、現時点で確立した手法があるとは言い難い。申請者は地デジ映像をキャプチャした多数のMPEG-2圧縮画像を対象に、収集した多数の主観評価結果に基づき、従来手法から求めた各種の画像特徴量とブロック歪みの主観評価結果の相関性について確認した。ただし、テストシーケンスの評価が曖昧かつMPEG-2でのみ圧縮したものであったため、検証は不十分であると考えた。そこで本申請ではまた、様々な動画像符号化により生じたブロック歪みを有する動画像に対して、ブロック歪みを検証する従来手法で求めた各種の画像特徴量により、手法の有効性確認及び性能比較を行った。