表題番号:2012B-064
日付:2013/03/25
研究課題市町村レベルにおける教職員人事政策の動向と地方分権改革に関する理論的・実証的研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育・総合科学学術院 | 助手 | 阿内 春生 |
- 研究成果概要
- 本研究は市町村における教職員人事政策の動向を、地方分権改革との関連において調査、実証することを目的としている。研究はインタビュー調査及び、議会議事録や教育委員会会議録など1次資料の収集を中心としている。
本年度は茨城県旧A町において取り組まれてきたTT(ティーム・ティーチング)政策導入の試みや、学期制改革の一種である通年制の導入失敗の事例について、A町議会、A町教育委員会での議論を検討した。
まず、TT政策導入では1999年度に当時の町長が発案してTTを導入した経緯、翌年度に取組を中学校から小学校に拡大しようとした際の失敗という二時点について取り上げた。TT政策導入にあたって、町長と対立的な関係にあった議会では、町長提案の政策を予算審議の過程を通じて、教科数を減らすことを求め、最終的に英語と数学の2教科でTTを導入した。一方、政策を小学校に拡大しようとした際には、教育委員会事務局の対応、議会の強固な反対があり小学校には拡大できなかった。
TT政策導入・拡大失敗の事例に関しては、2012年度の日本教育経営学会大会(香川大学)において報告した。今後論文としても成果をまとめる予定である。
次に通年制政策の導入失敗について検討を進めた。当時のA町長が起点となって導入が検討された通年制政策は、町内の世論や議会の強固な反対によって導入できなかった。その主因とみられたのは、審議機関が余りにも短かったこと、議会の賛成を得られる見通しを立てないまま政策を導入したことであった。また、教育委員に対する説明も十分でないまま検討が進められたことも失敗に至った要因であると考えられた。
通年制政策導入失敗については、2012年度の日本教育制度学会大会(岡山大学)において報告した。また未公表ではあるが論文にもまとめており、成果として公表できるよう執筆を継続している。
上述の旧A町事例の調査のほか、秋田県美郷町における調査も行い、現在得た資料を整理・検討中である。