表題番号:2012B-039 日付:2013/04/10
研究課題ヨーロッパ史における「共生」の形成と政治文化の変容に関する比較史研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 森原 隆
研究成果概要
 本研究は、前年度までのテーマを継続・修正し、「ヨーロッパ共生社会の創出と政治文化システムの形成」
というテーマに基づき、ヨーロッパ史の各時代・地域・領域において展開される、エリート等の支配層・指
導層と市民等の一般庶民・民衆層の「共生」さらには民族、言語、宗教的差異を超えた「共生」の活動や実
態を、政治文化や社会システム変容との関係で比較史的に考察・検討した。本年は、とくに3年間の共同研究
の最終年にあたり、2013年3月における共同研究書の刊行を目指して、それぞれの分野における研究の深化に
努め、分担者が、研究分担課題について、史料文献の収集と研究史の把握を続け、研究会での報告や議論を
とおして研究課題の検討を行なった。まず2012年7月に研究報告会・シンポジウム「ヨーロッパ・「共生」の
政治文化史」を開催した。内容は以下のとおりである。
趣旨説明・司会(森原隆)1.蝶野立彦(本学非常勤講師)報告「16世紀後半の
ドイツにおける《隠れカルヴァン主義(Kryptocalvinismus)》紛争と反カルヴァン主義のパンフレット ――
―宗教対立・共生と大衆的情報伝達」コメント 皆川卓(山梨大学准教授)2.南祐三(本学助手)報告
「ヴィシー期パリにおける仏独『共生』―協力主義メディアの統制と活動の実態―」 コメント 大内宏一 
3.全体的な質疑と討議。30名を超える出席者により、活発な議論が展開され、本共同研究の検討が綿密に
行われた。
 後期は、共同研究書の刊行に向けた具体的な編集作業に入った。その結果、2013年3月に共同研究書である、
森原隆編『ヨーロッパ・「共生」の政治文化史』(成文堂、2013年)を刊行した。これは、古代から中世、
近代から現代にいたる総勢19名の西洋史研究執筆陣からなる共同研究書である。
今後は、この共同研究の成果をふまえ、さらに「共生と排除」の両面から、各時代のヨーロッパ社会の諸
相をさらに深く掘り下げて、準備をすすめてゆく予定である。