表題番号:2012B-019 日付:2013/04/16
研究課題知的財産の基本的価値の多面的・国際的対立を克服した知的財産戦略の描像
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 教授 高林 龍
研究成果概要
研究計画では、先進国、後進国等の間に介在する国際的な知的財産法制に関する問題点を抽出し、具体的な問題について分析を行うとともに、それらの問題に共通する理念を与えるための基礎研究を継続していくということを計画していた。
先進国に関する問題についての成果としては、6月に行われたグローバル特許権行使戦略セミナー「米国特許法改正及びEU知的財産権行使指令の影響と日本企業戦略トレンド」及び、2013年2月に行われたグローバル特許権行使戦略セミナー「EUと日本における特許の領分」が挙げられる。
6月のセミナーにおいては、250人を超える参加者を迎え、 米国、ドイツ、日本の、弁護士、実務家、学者等が集まり、先進国、後進国に及ぶ喫緊の課題を取り上げたセミナーとなった。
2月セミナーは、デュッセルドルフ高等裁判所からクーネン判事に、我が国の知的財産高等裁判所から飯村判事に、それぞれご参加いただき、日独の比較法的観点から特許法を分析するという興味深いセミナーを開催した。参加者は140人を超えている。
このようなセミナーは、研究計画で意図した通り、先進国を中心とした国際的な知的財産法制に関する問題抽出に相当するセミナーであり、多くの参加者に対して最新の話題について解説すると同時に、新たな問題を投げかける機会となったといえ、当初の研究計画に沿った研究が着実に進行したということができる。
後進国に関する問題点の抽出という観点からは、2013年1月に行われた「RCLIP活動総括コンファレンス -判例からみる知的財産法制の過去・現在・未来-」が挙げられる。これまで、21世紀COE及びグローバルCOEを通じて行ってきた英語による知的財産に係る判例を集積してデータベース化するという活動を通じて行われてきた、各国の裁判官、弁護士、学者等の協力者とともに進めてきた地域研究が報告された。
2012年の成果としては、先進国、後進国の保有する問題点の抽出という点においては、計画を超える成果が見られたと考える。