表題番号:2012B-011 日付:2013/04/02
研究課題家族に係わる特別法が家族法(一般法)に与えた影響及び相互関係の法理論的分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 教授 岩志 和一郎
研究成果概要
1 研究実施の実績
(1) 研究会等
① 本研究テーマに関し、研究代表者が代表を務める家族法改正研究会が主催する形で、2回のシンポジウムを開催した。
第1回(2012年7月8日、早稲田大学)では、研究協力者犬伏由子(慶應義塾大学)が中心となって婚姻法、とくに婚姻障碍に関する検討を行った。報告者は犬伏のほか、門広乃里子(国学院大学)「婚姻適齢」、千藤洋三(関西大学)「再婚禁止期間」、南方暁(新潟大学)「近親婚規制に関する再検討」であった。
第2回(2012年11月11日、早稲田大学)では、研究協力者棚村政行(早稲田大学)が中心となって離婚法に関する検討を行った。報告者は、棚村のほか、緒方直人(鹿児島大学)「協議離婚制度の改革」、神谷遊(同志社大学)「離婚原因と破綻主義」、本澤巳代子(筑波大学)「財産分与に関する再検討」であった。
② ①のシンポジウムの準備のため、報告者による研究会を2回(2012年6月、9月)に開催したほか、研究代表者を中心として、親権法・扶養法を検討する研究会を2013年3月に開催した。
(2) 国際会議における報告
2012年11月24日に韓国高麗大学において開催された、新・アジア家族法3国会議「親権と未成年後見」において、研究代表者岩志和一郎が「親権法と未成年後見の現況と課題―子の福利と親権法の課題」、研究協力者棚村政行が「児童虐待と親権・未成年後見」という報告を行った。
(3) 調査
2012年11月23日に、研究代表者岩志和一郎、研究協力者棚村政行、同犬伏由子が、韓国・ソウル家庭法院を訪問し、同国の離婚時の子どもの親権、養育費等の取り決めに関する新しい手続について、現場調査を行った。
(4) 研究者招聘
2012年11月9日にソウル家庭法院の宋賢鐘調査官を招聘し、研究会を開催するとともに、11月10日に開催された、日本家族〈社会と法〉学会(理事長・岩志和一郎)において、韓国の新しい家庭裁判手続について報告を行った。

2 研究によって得られた知見等
 本研究のテーマは大規模であり、現在は継続的研究の一段階にある。これまで、すでに総論的検討、親子関係決定法の検討、親権法の検討を実施してきたが、本年度の研究では、懸案であった、婚姻および離婚という家族法の大きな領域について、民法と個別法の相互関係を検討することができ、また将来の家族法のあり方についての検討点を洗い出すことができた。また、近時家族法の重要な改正が続いている韓国との研究協力を深めることができ、彼国の動向を観察することは今後のわが国の議論に資するところが大きいことが確認された。