表題番号:2012B-010 日付:2013/03/30
研究課題共分散構造分析による政策形成過程の研究-全国知事会・優秀政策を対象とした分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 山田 治徳
研究成果概要
本研究は「優れた政策はどのように形成されるのか」という疑問を明らかにすることを目的とする。具体的には、単なる政策形成過程ではなく、優れた政策の形成過程を対象として、これらの構造や要素について、その実態を把握するだけではなく、これらのより詳細な実相や深層に至ることを目的とする。
 実際の分析においては、地方自治体における政策形成過程を対象とする。しかし本研究で明らかにするのは、地方自治体の単なる政策形成過程ではない。また個別政策の形成過程の検証でもない。本研究で対象とするのは、優秀な政策として評価されている政策の形成過程である。なぜなら本研究で明らかにしたいのは、単なる政策の形成過程の構造とそれらを構成する要素ではなく、優秀とされる政策の形成過程の構造とそれらを構成する要素だからである。
具体的には、全国知事会が優れた政策として選定した「優秀政策」の形成過程について分析を行う。「優秀政策」は全国知事会が平成20年より全国自治体の行っている政策の中から選定しているもので、これまで129の政策(平成20年:28、21年:25、22年:25、23年:27、24年:24)が選ばれている。本研究では、これらの事例を対象として、わが国地方自治体における優れた政策の形成過程に見られる構造やその構成要素を明らかにする。
しかし、今般の研究では、これらの目的を全て達成するためには、十分な時間的余裕がない。このため全国知事会がこれまで選定を行った129の優秀政策の中から、本格的な研究の前段階としての事前調査を行うこととした。事前調査の内容は、文献資料、新聞記事、議会議事録等の1次資料の収集を行うことにより、これらの政策の背景や概要等について把握することを目的とした。またその過程で明らかになった優秀政策ではないものの、同様の趣旨を有すると思われる政策についても同様の資料収集を行った。
今後は各事例の概要、全体像を把握したうえで、関係者へのインタビューを行うことにより、より正確な事実および実態の把握と理解に務めることとしたい。そしてこれらの結果を活用することで、これまでの先行研究をもとに構築した政策形成過程のモデルを、わが国の地方自治体における政策形成の実態により即したものにすることで、モデルの潜在変数をより適切に導出することのできる調査の実施に進みたいと考えている。