表題番号:2012A-911
日付:2013/02/27
研究課題瞬発系スポーツ競技前に行う効果的な短時間高強度ウォームアップ法の確立~実施者の筋線維組成およびトレーニング実施の有無に着目して~
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | スポーツ科学学術院 | 講師(任期付) | 宮本 直和 |
- 研究成果概要
- 競技選手やスポーツ愛好家は、競技前のウォームアップを習慣的に行っている。しかしながら、実際に行われているウォームアップの内容は経験などに基づいて決められていることが多く、特に瞬発系競技のパフォーマンスを高めるためにはどのようなウォームアップを行えば良いのかについてはほとんど知られていない。近年の研究では、高強度短時間の筋収縮後にみられる活動後増強効果の役割が注目を浴び、ウォームアップとしての高強度短時間の筋収縮が瞬発系競技のパフォーマンスを向上させるか否かについて数多く検討されている(Tillin & Bishop 2009; Miyamoto 2011, 2012)。我々はこれまでに、事前に5~6秒間の等尺性最大随意筋収縮(Maximal Voluntary Contraction: MVC)を行うことにより、その後に行う最大努力の動的筋力が一時的に高まることを報告してきた。しかしながら、短時間と言えど高強度の筋収縮は活動後増強の効果だけではなく筋疲労をも引き起こすため、活動後増強の恩恵を充分に活かし切れていない。そこで本研究では、高強度のレジスタンストレーニングにより筋疲労耐性を亢進させると、筋力増強はより顕著になるのか否かについて検討した。健常成人男性20名(トレーニング群11名、コントロール群9名)を対象に、5秒間のMVC前およびMVC直後、1、3、5分後に、最大努力による等速性膝関節伸展筋力を計測した。トレーニング群は、12週間の介入期間中に80%1RMの強度にて膝関節伸展のトレーニングを行った。その結果、動的筋力は、トレーニング前ではMVC 終了1分後および3分後に有意に増加したのに対し、トレーニング後ではMVC直後にも有意に増加し、MVC終了1分後の増加はトレーニング前と比べ有意に高かった。これらの結果は仮説を支持するものであり、動的筋力に対する高強度短時間のウォームアップ収縮の効果は、高強度レジスタンストレーニングを行っている者ほど顕著であることを示唆している。