表題番号:2012A-909 日付:2013/04/08
研究課題古気候プロキシーとしての湖沼堆積物中の生物源シリカ量の評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 助手 山田 和芳
研究成果概要
本研究では、滋賀県琵琶湖および秋田県一の目潟において過去数百年の湖沼堆積物の高時間分解能な生物源シリカ量変化を求め、各調査地点の最近場所気象観測データと照らし合わせることで、生物源シリカ量が何の気象要素に起因して変化するのか解明することを最終的な目的とした。
この研究を遂行するため、まず計画通り現地でのコアリング調査を計画し実行した。調査は2か所で実施した。ひとつは、2012年7月1日から4日にかけて琵琶湖(滋賀県)北部湖盆の高島沖(水深70 m地点)にて、他方は2012年8月5日から8日にかけて一の目潟(秋田県)中央部(水深45 m)である。両湖沼とも、それぞれリミノスグラビティーサンプラーを用いて、表層約40cm程度の表層堆積物を採取して、粉末ドライアイスを用いて急速凍結させた未擾乱コアを各湖沼で3本ずつ採取した。
これら凍結試料は、高時間分解能な試料分析を行うために、大学実験室に持ち帰り、5mm幅での切断を行った。しかしながら、ここで大きな問題点が生じた。それは、この切断に関して、従来考えていた一般的なのこぎりを用いた切断ではできないことである。そのため、試料分析のステップに行く前に、テスト凍結サンプルを用いて、様々な切断方法、すなわちのこぎりのほか、カンナ、電熱カッター、超音波カッター等を試し、切断の容易さ及び正確さをテストした。その結果、最終的には、スチロールカッターに熱伝導度が高い銅線をつなげて、熱で溶かしながら試料切断する方法が最も優れていることがわかった。以上のような実験を経て、琵琶湖および一ノ目潟で採取した試料の切断を行った。
現在、堆積年代の測定のためにPb-210およびCs-137の測定を、一方、生物源シリカ量を測定するために試料のモリブデンイエロー法を測定している。しかしながら、上述した切断に関する事項で、当初の予定したスケジュールが遂行できないため、すべてのコアについてまだ、分析を終えることができていない。そのため、当初予定していた分析データと観測データの対比を十分に行うことができていない。今後、早い段階で、現在進行形の分析を終わらせるともに、観測データとの対比検討のための、データ解析を行い、当初の目的のための成果を出していく予定である。