表題番号:2012A-891 日付:2013/03/28
研究課題生産チェーンの全体的な最適化を達成するための研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 翁 ウェイ
研究成果概要
2010年からマルチ・エージェントの手法を提案して、動的にハイブリッド・フローショッププロセスでのジョブ流れを制御することをやって来ました。提案した手法は分散的にシステム全体の目標を達成することができます。2012年度にこの手法を生産ラインに応用してみました。つまり、生産ラインにある全てのショップが連携して、同じペースで生産を行うことを目標とします。各ショップが後のショップの需要に対して、いいタイミングにジョブを完成することによって、ショップ間の在庫を減少し、作業員の人数を最小化し、ラインの全体最適化を達成することを目指していました。

このため、一つのショップを研究対象として後ろのショップの生産能力が決めた生産スピードに合わせるようにジョブの生産順番を調整する手法と、各オペレーションの開始時刻を決める手法を提案しました。詳しく言うと、ボトルネック・マシンを利用するジョブを適切に分け、どのジョブでもボトルネックの所に待たせないようにすることによって、各ジョブの完成時刻を大体予測できるようにしました。その次は、後のショップが決めた生産スピードによって、各ジョブの望まれる完成時刻を設定しました。設定した時刻にジョブを完成するため、動的な制御手法を二つ提案しました。一つはジョブの望まれる完成時刻と予測の残り処理時間の差によって、リアルタイムにジョブの処理順番を調整します。もう一つはほかのジョブの残り処理時間を見て、各ジョブの最後のオペレーションの開始時刻を決めます。

提案した手法は北九州市にある一つ化学工場の実際のデータを使用してシミュレーションしました。その結果は、工場現場の状態より早めに完成したジョブの数は90%も減少し、遅く完成したジョブの数は100%も減少しました(遅れなしになりました)。そこで、工場から高く評価されました。

更に、提案した手法の汎用性をチェックするため、一つの工場のデータだけではなく、ランダムに160個のジョブショップ問題を生成しました。それらの問題に対してシミュレーションを行いました。その結果は、問題のサイズにかかわらず、提案した手法はいつも短い時間に(1秒以内)最適化近くの解を見つけることを確認しました。その理由は、分散的な制御手法だから、各計算点の計算量も少なく、複雑度も低くため、リアルタイムにソリューションを提供でき、汎用性が高いと考えています。

工場のデータを利用したシミュレーションは上海で行った学会とシンガポールで行った学会で発表しました。そして、汎用性を検討するための論文は台湾で行った学会で発表しました。提案したマルチ・エージェントの手法は早稲田大學出版部に本として出版されました。