表題番号:2012A-040 日付:2013/04/08
研究課題災害対応作業を目的とした建設作業機のための手先荷重計測手法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 亀崎 允啓
研究成果概要
 これまでに,災害救助や復旧作業への適応を目的とした次世代建設作業機のための操作者支援システムの開発を行っている.本研究課題では,この支援システムに不可欠となる負荷計測技術を対象としており,これまでに開発してきた負荷計測技術をベースとした研究である.具体的には,作業機マニピュレータの手先にかかる外力負荷(フロント負荷)をロバストかつ高精度に計測する手先荷重計測システムの開発を行った.災害現場など過酷な環境下で作業を行う災害対応作業機は,力センサなどを手先に搭載することが難しいため,搭載性・汎用性の観点から油圧センサを負荷計測センサとして用いている.よりロバストで高精度な計測を行う際には,外力以外の負荷要因(マニピュレータ自重力,シリンダ駆動摩擦力,慣性力による大きな振動成分など)を高精度に除去するアプローチが必要となる一方,完全に取り除き切れない不確定な負荷要因が存在することが問題となる,そこで本課題では,上述の不確実性を内包した実用性の高い荷重計測システムの開発を行った.
 はじめに,これまで開発してきた負荷要因同定手法を利用して,上述の主要な負荷要因を計測値から取り除いた.本手法は,実装性が容易な同定モデルを用いているため誤差を含むことが前提となる.次に,負荷計測の信頼性を高めるため,負荷有無が正しく判定できない状態を計測シリンダから除外した.この出力結果を複数シリンダで統合し,手先の負荷有無検出を行った.この負荷有無結果をベースとして手先にかかる荷重の計測を行った.負荷あり判定が2つ以上ある場合には,各荷重値の平均値を出力する方法も考えられるが,いずれかに大きな誤差が生じていれば出力値の信頼性が低下する可能性が高い.そこで相対的に誤差が小さいと考えられるシリンダを以下のルールを利用して1つ選出した:誤差の出やすさから動作状態よりも静止状態のシリンダを優先すること,誤差感度の小ささから,ブーム,アーム,バケットシリンダの順に利用すること.各種計測センサを備えた油圧マニピュレータにて評価実験を行った結果,提案した荷重計測システムを用いることで,マニピュレータの姿勢や運動状態などの計測条件によらず,適切にフロント負荷計測を行えることが示された.本年度の開発を踏まえた実装技術の開発を検討している.