表題番号:2012A-027 日付:2013/04/12
研究課題極低温気液混相流用ボイド率/流速センサーの開発研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 佐藤 哲也
研究成果概要
 本研究では、ロケットエンジンや極超音速予冷ターボジェットエンジン(PCTJ)の燃料である極低温液体水素の二相流状態における流動特性を解明するため、主要パラメタであるボイド率計を開発、高度化することを目的とし、実験的に検証した。研究成果を以下に示す。
 第一に、これまで研究を進めていた静電容量型ボイド率メータ(液相と気相の誘電率の違いを利用している)に関して、課題となっていた温度ドリフトを是正する手法(配管材質の選定と電極サイズの調整)を確立し、温度ドリフトをおよそ1/10に低減することに成功した。
 第二に、観測ロケットを用いた液体水素流動試験に搭載するための小型ボイド率を開発した。主な課題である、小型化、部品点数の削減(耐振動、耐加速度)、ノイズの減少、極板位置の精度向上を実施した。また、自作Cメータの回路設計、製作を実施し、十分な精度が得られることを確認した。
 第三に、これまで使用していたボイド率計測の理論式について検証を行うために、電場解析を実施し、理論値、実験値と比較した。また、内部の流動様式をトモグラフィの原理を用いて、静電容量から逆投影法による解析手法を検討し、予備実験を行った。
 第四に、市販流体解析ソフトopen formを用いて、二次元の気液二相流の解析を行い、実験結果を補間した。今後、自作の二相流解析スキームを構築する予定である。
 第五に、本静電容量型ボイド率計を応用した、クオリティーメータを提案、試作した。クオリティを直接計測する方法は、これまで実施例がみられず、画期的なものである。
 第六に、ステレオ撮影によって得られた画像に関して、光学式疑似三次元画像解析手法を確立し、光学的にボイド率を計測した。次にあげる液体窒素を用いた実験で、静電容量型ボイド率計と比較を行い、計測精度を確認し、本手法が時間分解能の高いことを実証した。
 上記で構築した技術は、液体窒素を用いた流動実験(東北大学の試験装置を使用)により、確認し、問題点を抽出した。
 以上、研究計画で示されていた項目はほぼ実施され、所定の成果をあげ、講演1件を行い、査読論文を投稿中である。今後は、この結果を踏まえ、小型ボイド率計、トモグラフィ手法、クオリティ計測手法を洗練し、実用化に向けた研究を実施する予定である。