表題番号:2012A-016 日付:2013/04/10
研究課題渡辺幾治郎・深谷博治旧蔵文書の近代史料学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 准教授 真辺 将之
研究成果概要
研究補助者3名を雇用して、史料の整理・目録化の作業を行うとともに、本史料群と関係の深い宮内庁書陵部の所蔵史料の調査を行った。
整理・目録化の作業にあたっては研究補助者に、史料の袋詰めと目録の粗入力を依頼、それを真辺がチェック・修正・記述追加するという形で作業を進めた。目録化にあたっては、簿冊表題だけではなく、内容に含まれる史料の細目まで採録し、書翰についてはおよその内容についても略記するようにした。
その結果、本資料群のうち、和綴じの冊子体写本史料について、おおむね粗入力の作業を終えることができた。しかし、真辺によるチェックについてはまだ未着手の部分が残されており今後の課題となった。
また、現在割り振られている文書番号は便宜的なものであるため、内容を勘案して史料配列の再構成を行い、文書番号の再振り分けを行いたいと考えているが、そうした仮番号から新番号への配列分けの作業も手付かずのまま残っている。
また上記の作業と並行して、これら史料が収集される契機となった各編纂事業、具体的には、臨時帝室編修局における『明治天皇紀』編集事業、春畝公追頌会における『伊藤博文伝』編集事業、憲政史編纂会による憲政史編纂事業、貴族院五十年史編纂掛による貴族院五十年史編纂事業、早稲田大学大隈記念室における大隈重信関係文書の整理・調査事業のどのような特質が見えてくるのか、また逆に、それら事業の特色が、本史料群の史料状況にどのように反映しているのかという相互関係を明らかにすべく、検討作業を行った。特に、近年、宮内庁書陵部にて本史料群と関係の深い史料が大量に公開されていることから、それらに関する調査を、研究補助者を雇用して依頼した。ただし、これらは未だ史料状況の調査・収集の段階にとどまっており、深谷旧蔵史料との内容の比較検討の作業は手付かずとなっており、完遂にはいたっていない。今後、検討をすすめ、論文化を目指したいと考えている。
なお、本年度整理した写本史料とは別に、本資料群中には、多くの現物史料が残されており、また深谷の旧蔵書籍もこれとは別に大量に残されていることが判明した。現物史料の数は約100点であり、旧蔵書籍は約300点にのぼるものと見積もられるが、これらについては全く着手できておらず、来年度以降のの課題として残されている。今後は、これらの未着手の作業に着手し、その上で、本年度の作業の結果も含めた、完成版目録の作成を期したいと考えている。