表題番号:2012A-013 日付:2013/03/27
研究課題トルファン・ヤールホト古墳群の総合的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 岡内 三眞
研究成果概要
 本研究費は、1994年から1996年まで早稲田大学シルクロード調査研究所が中国新疆ウイグル自治区考古研究所と共同で調査・発掘を行った交河故城溝西墓地の成果報告書を、日本で刊行することを目的に申請したものである。
 本年度の研究では、発掘調査以降に発表した研究論文やシンポジウムの成果をまとめ、さらにすでに中国側で刊行されている溝西墓地の報告書の図面のデジタル化、日本語への翻訳などを行った。そして、それらの作業をまとめて中国側との交渉を進めた。
 具体的には3月に新疆ウイグル自治区ウルムチへ行き、当時、共同で調査を行った新疆ウイグル自治区考古研究所を訪問した。そこで同研究所所長の于志勇氏と面会し、日本で報告書の刊行を行いたい旨を伝え、さらに現在の進捗状況を示した。于氏は概ね了承してくれたが、法的な部分で版権の問題や測量図の掲載などの問題を解決する必要があると、アドバイスをいただけた。特に測量図の掲載は新たに中国側で施行された測量法に抵触するため、慎重に解決する必要があると考えている。中国以外の国における中国国内の測量図の発表は厳しく規制されており、これには中国の測量局の許可が必要となる。于氏との打ち合わせでは、基本的には新疆ウイグル自治区考古研究所が主導でこの問題をクリアするように手配していただけるといっていただけた。したがって、今後は、その進捗を見ながら、必要に応じてこちらでも書類を準備する必要があろう。
 さらに溝西墓地が所在するトルファンへ向かい、当時、発掘に参加いただいた現地研究者、呂恩国氏と面会し、報告書への執筆を快諾いただけた。また、北京では中国社会科学院考古研究所および中国人民大学を訪問し、特に当時の発掘の中国側の責任者であった王炳華氏と面会した。王氏にも日本における報告書の刊行に同意していただき、やはり執筆もしていただけるとの回答をいただいた。
 以上のように、本年度中の報告書の刊行は難しいが、本年度の研究を通して、報告書を日本で出版する道筋をつけることができた。また、過去の調査・研究の整理を進めることもある程度は行うことができた。来年度以降は、本年度に固めた基礎の上に作業を進め、報告書の刊行を行っていきたい。