表題番号:2011B-327 日付:2012/04/24
研究課題海外産地研究における基礎データの整備と地図化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 本木 弘悌
研究成果概要
本研究は海外産業地域における産地構造の実証研究の成果をふまえて、今後の研究のために基礎データを整備することと、学校教育の地理学習における基礎資料を提供することを目的とする。海外産業地域の産地構造分析の研究蓄積は様々な分野からなされているが、成長地域や成功企業の事例紹介にとどまる一過性の研究が多く、継続的に産業地域の発生メカニズムや発展要因、衰退要因を実証的に研究したものは少ない。申請者はヨーロッパのなかでも多様に地場産業が発展しているイタリアを対象に、2000年より現地調査を重ね実証研究を蓄積してきた。その成果の一部は学会において発表し、高等学校地理教科書にも海外産業集積地域の教材資料を提供してきた。
今後、不安定なヨーロッパ経済における産業地域の動向を観察し報告することは、混迷する日本の産業地域の動向を考察する上でも重要と考える。そのためにも産業に関する統計データの整備は、重要な作業となる。イタリアでは産地は行政単位の地名を冠していても行政単位の地名と空間範囲は一致せず、産地はそれよりも広範囲に構成されている。このことによりイタリアの製造業産地の特定は曖昧のものとなっている。特に近年イタリアの産地はThird Itary(第三のイタリア)と呼ばれる、成長地域が注目され、日本の高等学校地理の教科書にも記述されるほどではあるが、学術的研究においてThird Itaryの地域的範囲については明確にされないまま、おおよそイタリア北部から中部にかけての一部の地域としてか認識されていない。そこで本申請ではイタリアの工業地域データを産地単位で整備し、今後の研究基盤を築くことを目的とした。具体的にはイタリア国立統計研究所 (Istituto Nazionale di Statistica)の統計データを地場産業の産地ごとに再集計し統計データを整理した。さらにその一部を地図化して地理教育に関わる学会等で公表する予定である。