表題番号:2011B-280 日付:2012/04/16
研究課題短距離走をサッカー種目にコーチングする縦断的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 礒 繁雄
研究成果概要
●目的
 短距離走に関する実践研究は、これまでJ1ジュニアユース選手のトレーニング効果として成果を上げている。この成果を導くコーチ
ング手法が、韓国サッカー選手のトレーニング内容と比較してトレーニングの共有内容を調査する。

●方法
 韓国U22オリンピックチームのトレーニング内容をコンディショニングの視点から構成を口頭調査で明らかにする。また、トレーニ
ング場面に帯同して、特徴を抽出する。

●口頭調査結果
 韓国U22フィジカル担当コーチからの短距離走導入に関する視点と導入方法は以下の通りである。
1.韓国U22選手は、日本サッカー選手からの公表データと比較して身長体重ともに韓国選手が優位に高いことがわかった。
2.垂直跳び、立ち幅跳びの平均値が非常に高く、相関は調べられなかったが日本代表の陸上競技選手よりも良い結果であった。
3.30mダッシュの記録は、日本選手と比べて優位に速い傾向にある。
4.短距離走のトレーニング内容は、日本サッカー代表チームの構成と違いがみられなかった。
5.最大速度獲得に対する要望は、日本と韓国選手とを比べると韓国選手の方が強いとの報告であった。
●トレーニング参加状況
 練習視察は1回しかかなわなかったがその状況は次の通りである。
1.移動速度は同年代の大学サッカー選手と比較すると、非常に速く接触後の移動変化にも俊敏な傾向であった。
2.走りの練習内容は、練習内容としてあまり見られなかったが、練習前後に複数人数で実施していた。
3.練習と食事に関して非常に注意を払っていた。また、食事内容は、量と内容共に考えられており選手の競技力の違いによって
差つけてあった。

●まとめ
 今回の口頭調査とトレーニング場面での視察調査結果から、韓国U22チームの短距離走トレーニング導入は積極的に組み込まれてい
るとは言えない。この点は、専門的なコーチの登用がなされていないことが考えられる。ただし、韓国チームの走りの速さは、非常に
高くその要因として、形態的な特徴と基礎体力の高さに大きく影響されているように思われる。

 今後は、これまで得られて短距離走トレーニングをサッカー選手に導入した効果をトップチームの指導者に公表することを積極的に
する必要が感じられた。この点を理解し実践されることは、競技別のトレーニングの垣根を低くする効果が考えられる。