表題番号:2011B-271 日付:2012/04/16
研究課題大学授業における学生の行動および授業理解プロセスの把握と評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 准教授 尾澤 重知
研究成果概要
 大学教育の講義型授業において、授業中、学生は何をしているのだろうか。本研究では対面型の授業とeラーニング型の授業実践をフィールドとして、学生が授業で「何を見ているのか」「何をノートテイキングして(書いて)いるのか」「何を疑問に思っているのか」など、授業中の学生の行動と理解のプロセスを検討する。ツールとしてアイトラッキング(視線解析)、デジタルペン、携帯端末などの新たなテクノロジを応用する。また、これらのテクノロジを用いて学生の学習状況を可視化し、リアルタイムで教員にフィードバックするシステムを開発することで、教室やeラーニングで授業を行う教員の教授支援方法を検討する。大学教育の改善方法や授業支援方法を明らかにし、成果の普及可能性を探ることを目的として、研究を行った。
 本研究は、実際の大学教育現場を対象とした「授業実践研究」であり、研究代表者が開講した授業を研究対象とした。具体的には、前期には「情報と職業」(教科「情報」の教職課程科目)、後期には申請者の専門科目である「学習環境デザイン」を対象とした。
 実践研究では、第一に「何を見ているのか」について、連携研究者の協力の下、アイトラッキング(視線解析)装置を利用して、学習者の授業中の行動いて検討した。授業観察の経験者の視線と、一般の学生を比較検討することで、一般の学生に見られる特徴を評価した。本成果は、現在、論文として成果をまとめている。第二に、「何をノートテイキングしているか」については、加速度センサー付きペンとデジタルペンを利用して、ノート行動のリアルタイムでの把握を行った。本研究成果は、Egi and Ozawa (2012)や、Egi and Ozawa(2011)など国際会議での発表を行った。第三に、「何を疑問に思っているか」について、学習者が撮影した写真、Twitter、紙媒体の提出物について評価検討した。本研究は、尾澤・森・末本・山下(印刷中)や、森・末本・山下・尾澤(2011)などで論文として投稿した他、現在、論文の投稿準備を行っている。また、本内容を発展させ科学研究費補助金 若手(A)へ応募を行ったところ、若手(A)での採択を得ることができた。本研究をもとに、今後もさらに研究成果をあげていきたい。