表題番号:2011B-263
日付:2012/04/12
研究課題子どもの身体活動ガイドライン普及を目的としたソーシャル・マーケティング介入研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 | 教授 | 竹中 晃二 |
- 研究成果概要
- 本研究の目的は,子どもの身体活動(外遊び,生活活動,運動,スポーツ)量の増強を目的として,身体活動ガイドラインの普及啓発を行うことであった.身体活動ガイドラインとは,本来,どのような強度・量の身体活動が子どもの健康的な成長および発育を促すのかを科学的に証明した「原因―成果」の因果関係として示される.しかし,子ども自身がガイドラインに示された科学的根拠を見てその内容を実践するわけではないために,ガイドラインの普及啓発には,単に情報伝達を行う以上に工夫が必要とされている.本研究では,ソーシャル・マーケティングの手法を用い,1)対象者の焦点化,2)行動変容の強化とアウトカムの明確化,3)ガイドラインの使用者(教師,保護者など)への配慮,4)メッセージや伝達経路の明確化,による普及啓発を試みた.
本研究では,まず,ソーシャルマーケティング介入で用いる方略として,マーケティング・ミックス(product, price, place, promotion)を決定するための事前調査を行った.対象となる子どもを特徴やニーズによってセグメント化し,特徴やニーズが共通するそれぞれのセグメントに適合したproduct(身体活動の内容,行い方など),price(負担感の軽減方法など),place(実施の場所や時間帯),およびpromotion(メッセージや情報提供の方略)の内容を量および質的に調査した.これらの調査によって得られた情報を基にしてマーケティング・ミックスを決定した.
次に,本研究では,第一オーディエンスとしての子どもだけでなく,仲介者として第二オーディエンスに保護者,小学校教師,およびボランティア指導者を置き,彼らが子どもに働きかける支援法略を教授することによって,行動変容方略を教授し,それらの方略を実践させることで子どもの習慣づくりに貢献させようとした.介入実践に伴う子どもの行動変容の程度を測定する評価尺度(知識,態度,セルフエフィカシー)の開発,およびアウトカムとして測定する行動内容(身体活動の測定)および健康指標の決定を行い,保護者,教師,および指導者が支援冊子に基づいてどの程度の働きかけを行えたかの評価を行った.その結果,子どもの結果だけでなく,保護者,小学校教師,およびボランティア指導者からも好評価を得た.