表題番号:2011B-259 日付:2012/04/06
研究課題クラウド環境における適応型学習統合支援メカニズムの開発と実証実験システムの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 金 群
研究成果概要
 近年、ソーシャルコンピューティングやライフログが声高に叫ばれ、クラウドサービスをはじめとするサービス・コンピューティングの研究や利活用が盛んに行われている。その一方、情報通信技術を活用したe-ラーニングは、何時でも何処でも求められる教育が手に入る技術として、研究開発が盛んに行われ、広く活用されている。クラウドサービスを利用した教育・学習資源とデジタルコンテンツの共有活用は、高等教育機関のみならず、社会人を対象とする職業訓練や特殊技能の習得、在職研修など企業や一般社会でも可能となり、持続発展可能な生涯学習社会の実現に向けて重要な意味をもつと考えられる。しかし、従来の多くのe-ラーニング支援システムは、先進な技術を利用した高度な機能の取り入れに重点を置く一方、各学習者のバックグランドや学習能力、現在の学習環境など個人的な特性といった人間的な側面はあまり考慮されていない。学習者は与えられたシステムと機能しか利用できなく、受動的に進めざるを得なかった。
 そこで、本研究では、「ユーザ中心」の理念に基づき、クラウド環境における利用者の情報アクセス行動や学習活動を解析して、それに基づくラーニングオブジェクトのネットワークモデルを構築するとともに、利用者のニーズに適合した学習コンテンツをサービスとして提供する利用者主導の適応型学習統合支援システムを提案し、プロトタイプシステムを構築し、評価実験を行う。本年度では、
 ・利用者の情報アクセス行動や学習活動をソーシャルネットワーク分析手法によりマイニングし、ラーニングオブジェクトの内側の属性と他のラーニングオブジェクトとの関連性や利用者の関係やソーシャル的な要素を複合的に考慮したネットワークモデルを提案している。
 ・ソーシャルメディアから続々と大量に生成された構造化されていないデータに対応するため、これまで提案してきたユビキタス・パーソナル・スタディ(Ubiquitous Personal Study、略してUPS)を拡張し、ソーシャライズドUPS(Socialized Ubiquitous Personal Study、略してS- UPS)フレームワークを提案し、クラウド環境をベースにした試作システムを構築している。
 ・マイクロブロックサービスとS- UPS試作システムを統合し、ブレンディッドラーニング支援環境として実験的に試用し、実験評価を行っている。
 ・関連の研究成果をまとめた研究論文を発表している。