表題番号:2011B-248 日付:2013/05/10
研究課題社会科学を基盤とした学際的な社会デザインアプローチによる都市・地域再生手法の構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 教授 土方 正夫
研究成果概要
本研究は、都市計画のプロセスはその大部分が、数多くの主体、或いは組織間のコミュニケーションと公共的意思決定から成り立っており、また、従来の社会科学モデルは扱う対象問題と空間の特性との関連づけが弱いという問題意識に立ち、具体的な地域の将来像を構築するための学際的社会デザインの在り方のモデル開発を目指した研究である。特に少子高齢化といった基本的社会構造の変化、地方都市に見られる長期的経済状態の停滞或いは自然災害による被災
といった社会的課題を克服するための、都市や地域の自律再生モデルとその手法の開発を具体的目的としている。近年、世界的にも地域再生の研究が活発になり、基本モデルが提案されている。本研究ではこれらの既存モデルの検討を行い、特に地域の時間的変動を意識したパナーキーモデルを取り上げ、日本の社会文化特性を前提とした地域再生モデルとしての適応可能性について検討を行った。更に地域再生の手法開発は、以下の研究分担で研究を進めた。地域再生の組織の相互関連については早田が中心になり、近年活発な活動が注目されているNPO,NGOの分析が行われ、これらが満たすべき機能要件についての分析が行われた。再生のためのコミュニケーションの在り方や特に地域課題への共通理解を深めるためのコミュニケーション・プラットフォームの在り方については卯月が分析を行い、その機能要件について分析が実施された。更にコミュニケーションの媒体及び地域への歴史的、文化的背景については佐藤が映像メディアの創造と蓄積について研究を展開し、関連各主体が自律的にデータや情報を収集し、読み解くための方法論の開発を行った。また、これらの研究の相互関連と位置づけを地域情報システムの構築という観点から、土方が全体の総括を行うと同時にインターネットを中心とする情報技術の応用について検討を加えた。本研究は東日本大震災の復興計画策定に関わる研究メンバーの実証的研究を背景に、社会科学を基盤とし、学際的アプローチにより地域再生モデルの構築を目指したものであるが、地域学、計画学、情報学の枠を超えて更に経済学、経営学、法学等々の諸分野との融合を図ってゆくことが今後の課題といえる。