表題番号:2011B-243 日付:2012/03/30
研究課題副島種臣関係文書の総合調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 教授 島 善高
研究成果概要
「副島種臣関係文書の総合調査」と題する本研究では、『副島種臣全集』第4巻以降に収録すべき史料の収集に全力を挙げた。今年度は毎週月曜日の18時から21時まで研究会を開催し、助教や大学院生の協力を得ながら、下記の作業を行なった。
 ①日本各地に散在する副島種臣執筆、撰文の碑文撮影と翻刻。
 ②副島が筆を執った題辞や序文の収集、入力。
 ③『東邦協会会報』に掲載された副島種臣関連の文章の入力。
 ④外交文書を始めとして各種の記録に残されている副島種臣関係史料の収集。
その結果、①碑文は約40点、②序文及び題字は約90点見出すことが出来、③『東邦協会会報』所載の副島関連記事はほぼ全て翻刻作業を完了できた。①から③の作業は本来、数年前に完了する予定であったが、次々に新たな史料が出現し、また副島独特の難解な文章と、これまた判読に苦しむ副島の書の解読に予想外に手間取り、今年度まで作業を継続せざるを得なかった。しかし、関係各方面の協力のお蔭で、漸く史料収集と入力作業を完了したので、①碑文については、すべての写真、名称、状態、執筆年代、建立年代、所在を明らかにし、②題字・序文については、書籍名、状態、刊行年代、書誌データを付し、③『東邦協会会報』所載記事については、利用者の便利を考えて、副島自身の文章のみならず、東邦協会の活動全体が判然とするよう、総会その他の記事も併せて翻刻し、これに解題を付して、今年中には出版できる見通しがついた。これらの史料によって、従来全く知られなかった副島種臣の実に多方面の活動が明らかになり、日本近代の政治史や精神史に大きく寄与するであろう。最近出版された安岡昭夫『副島種臣』も、我々の作業に大きく依拠し、また『副島種臣全集』の完成を待ち望んでいる。
 なお、④の外交文書その他に残されている副島種臣関係史料の収集・翻刻作業は、現在のところ明治6年ころまでが入力済みで、今後とも継続して行なわなければならない。