表題番号:2011B-237 日付:2012/03/26
研究課題リアルタイムモーションセンシング技術の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授(任期付) 坪川 信
研究成果概要
今年度は、主に関連するセンシング技術のサーベイと測定原理の基本検討を実施した。研究費は実験を実施していくための光ファイバ等、基本ツールの一部の購入、分析用のPC及び情報収集の一環として国内の関連会議への参加費を支出した。
検討内容を整理すると、
1)関連技術(特に周波数領域リフレクトメトリ(OFDR)、低コヒーレンストモグラフィー、光ファイバブラッググレーティング(FBG)技術)に関し、文献調査・分析を行い、ゼミ等にて議論、検討を行った。
2)低コヒーレンス干渉法をベースとした計測原理を発案し、数式による確認、基本特性を評価した。例えば分布的に局在する光ファイバ曲がり角度を温度や応力と分離して評価する原理、曲げ形状に依存しない角度検出法などの計算による確認を行った。
3.センサの適用領域拡大に向け、例えば内視鏡などへの適用性の検討も行った。

項目1については、センサの全体の設計において必要となる技術の洗い出しを行い、片端での多点の同時計測を可能とするOTDR、OFDRを調査し、数m程度の比較的短尺な対象で数mm程度の分解能を得るためにはOFDRをベースとした。既存の方法ではいくつかの異なる刺激が加わった際にデータが重なって検出されてしまうため、例えば、空間位置が異なる多点の情報を分離し、かつ曲がりの影響だけを温度や歪から分離検出する必要がある。これを解決するための検出手段として、低コヒーレンス干渉技術を応用し、参照光の設定を工夫した新しい干渉計構成を組むことで必要情報だけを雑音から抽出する原理を数式レベルで確認した。オルタナティブ技術として検討例の多いFBGについても情報収集を行い、センサヘッド部にFBGを用いた場合の干渉性構成と分解能等についても合わせて特性の確認を行った。また、原理の応用範囲を拡げる意図から、他分野のアプリケーションの検討を行い、医療分野における内視鏡などへの適用の可能性を調査中である。

現段階では、いずれも研究室内部での初期検討に留まっているが、今後、実験等による確認を行うことで外部発表していく予定である。