表題番号:2011B-236 日付:2014/04/07
研究課題省エネルギーSiCデバイス高温実装技術研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授(任期付) 巽 宏平
研究成果概要
研究成果概要:省エネルギーSiCデバイス高温実装技術研究

①(高温実装用)SiC(Si)チップ電極と基板のワイヤボンディング接続技術確立:
太線ワイヤボンディングの検討をAlに加えて、Cuワイヤを用いて接合実験をおこなった。
Cuワイヤの場合は、チップへのダメージはSiチップでは、顕著にあらわれ、接合マージンが狭くなるが、ボンディングステージを加熱することで、大幅な改善がみられることがわかった。酸化防止をおこないながら、さらに高温で接合することが今後の検討課題である。
②(高温実装用)SiC(Si)チップ電極と基板とのフリップチップ接続(直接接合)技術確立:
高温実装用フリップチップ化の基礎検討として、ナノ金属による接合、マイクロメッキによる接続、静電ジェット噴霧による接続(接合)について、調査をおこなった。ナノ金属による接合については、ボイド、空隙の対応のための複合化を中心に検討した。耐熱性は劣化するが、従来の導電樹脂等と比較して各段の耐熱性向上の確認ができた。
マイクロメッキによる接続については、Niメッキによる導電接続の基礎検討をおこない、良好な接続と強度が確保できることが判明した。デバイス構造を想定した試験による応力に対する信頼性など、今後の検討課題となるが、実用の可能性が十分あるものと推定された。最適接続構造と合わせて検討が必要である。
静電ジェット噴霧接続については、あらたな装置導入により、ナノ溶液の塗布実験を開始した。良好で比較的均一な塗布が可能であることが判明した。ナノ粒子の接合、凝集化が課題となるが、層状塗布中の加熱などあらたな緻密化の検討が必要であることが分かった。
③信頼性実証
ナノ金属の適用に係る信頼性課題を中心に検討した。ナノ金属は低温で接合が可能で、比較的高融点の金属を用いることで、高温の接続信頼性に優位性をもつと考えられる。しかし粒子の接合、凝集時に発生する応力やボイドが課題となることから、加熱接合の粒子の挙動について調査した。
粒子間の接合(表面近傍拡散)は十分に行われるものの、物質(接合粒子)の移動が十分ではなく、ボイド、クラックの発生原因となって、信頼性低下の原因となる。塗布方法の検討あるいは、材料複合化により、より実用的な使用方法についての継続的な検討が必要である。