表題番号:2011B-228 日付:2014/01/10
研究課題粒子群最適化アルゴリズムをベースにした高速制御用LSI(FPGA)
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 馬場 孝明
研究成果概要
粒子群最適化アルゴリズムをベースにした高速制御用LSI(FPGA)として、本研究では、以下の取り組みを行つた。

群知能は、最適化問題を効率的かつ正確に解くことのできるアルゴリズムであり、PSO(Particle Swarm Optimization)アルゴリズムとは、鳥や魚、昆虫等の群れの動きに倣った群知能の一種である。このアルゴリズムは、始に探索領域において「Particle(粒子)」と呼ばれる探索点をランダムに複数配置する。このとき、粒子は現在の“位置”(状態量)と“速度”の情報を有している。その後、ランダムに配置された粒子の中で最適な“位置”にある粒子に向かって、他の粒子が“位置”と“速度”を更新しながら集まることで、漸近的に最適解への収束・導出ができる手法である。
具体的な取り組みとして、我々は上記のPSOアルゴリズムを改良し、LPS(Local Positioning System)、アダプティブデジタルフィルター、物体追跡などのシステムへの応用研究を推進した。LPSでは、従来の位置特定システムの測定精度を50~70%までに改善することを実証した。さらに、このPSOアルゴリズムを8次元に展開して、FPGA上にアダプティブデジタルフィルター(LSI)として構成を試みた研究開発では、このフィルターを特徴づける重み係数パラメータ更新速度を10マイクロ秒/回に短縮することができ、従来のアダプティブデジタルフィルター制御と比べて格段の高速化(従来比:4625倍)を達成した。これらの結果から、本研究で新しく提案した構成手法は、従来のPSOを使わない収束制御システムと比べてその計算精度と動作速度を大幅に改善できることを示したといえる。すなわち、リアルタイムシステム応用には、PSOアルゴリズムをベースにしたこの高速制御用LSIは、極めて有効なアプローチであることが明らとなった。次の取り組みとしては、この高速制御用LSI(FPGA)をより汎用性の高いハードウエア・アーキテクチャとして展開してゆく計画である。