表題番号:2011B-224 日付:2012/03/15
研究課題システムオンシリコンのためのランタイム解析・最適化手法の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 木村 晋二
(連携研究者) 理工学術院 教授 戸川望
研究成果概要
システムオンシリコンのためのランタイム解析・最適化の研究として、アサーションチェッカを用いたランタイムエラー検出法と得られたエラーの暗号化と安全な記憶方式や耐タンパ性に関する基礎的な研究を行った。まずアサーションチェッカーについては、入力記憶オートマトンを用いる手法に基づき、入力記憶部を共有することでFPGA実現によりハードウェア資源が削減できることを示した。つぎに、ランタイム解析で必要なアサーション集合に関する十分性について、回路の一部を変更したミュータントベースのアサーションの十分性判定に基づく手法の調査と検討を行った。ミュータントベース手法では、加えた変更がアサーションにより検出できるかでアサーションの十分性を判断するが、どのような変更を加えるかはランタイム解析の種類に大きく依存する。とくに遅延エラーについては、記述手法を含めて議論する必要があることがわかった。エラー情報の圧縮については、圧縮能力に優れたLFSRベース手法を検討した。ランタイム最適化については、FPGA の動的再構成の機構を用いる手法の検討を行った。とくに、内臓プロセッサの命令実行中に、その命令に対応する演算器を動的に構築し、ループに対応する命令列を検出して、データを動的に構築した演算系に通す手法の検討およびプロトタイプの構築を行った。これはハードウェアの高位合成をアセンブラレベルから動的に行う手法であるが、ループの検出部およびデータを新たに構築した演算系に流す手法、およびFPGA の動的再構成を高速に行う手法を検討する必要がある。また、演算系の最適化も今後の課題であり、メモリを用いた算術演算の効率化および低電力化や複数の加算を連続して行うマルチオペランド加算の最適化などの最適化の研究を行った。エラー情報の暗号化および情報漏洩の耐タンパ性についても検討を行い、スキャンパスがある場合の耐タンパ性について議論を行った。