表題番号:2011B-222 日付:2013/11/04
研究課題社会基盤診断のための情報・エネルギ伝送制御の基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 大貝 晴俊
研究成果概要
無線センサー装置の使用においては従来は有線による電源供給や一次電池が必要であったが、低消費電力の無線電力受電装置の開発により電波により10m程度の距離からの給電を可能にした。橋梁の健全度診断無線センサーネットワークなど電源の敷設、交換が困難な応用に適用できる。
本テーマで開発した無線電力伝送における受電側の省電力変換器においては、変換器全体で100uW以下で出力電圧2-4vを得ることを目標とした。具体的に変換器を構成する、各ブロックにおいて以下を目標とした。
 A.レクティナ(アンテナ+整流器):アンテナの動作利得7dBi以上、変換効率35%以上(入力電力100uAの時)
 B.昇圧回路:1v以下からの昇圧。動作電流 40μA以下
 C.充電制御回路:4.2vのリチウムイオン電池を充電可能な事。動作電流は数uA以下。
これらが実現できれば、変換器全体で100uW以下で動作可能となり、10mの距離での電力伝送が可能となる。
 更に、無線電力伝送の蓄電においては、一般的な二次電池のへの充電電流に比べ相当程度少ない充電電流であるため、充電時間を最適にするため、無線センサーの稼働による電池残量のモニターが必要となる。本研究開発のシステムでは、無線電力伝送による充電時間と、無線センサーによる電池残量との評価を行い、電池残量のデータを無線センサーを介してホストサーバにあげることで、最適と思われる送電装置の制御を行なった。換言すれば、充電が十分されているのに送電装置が給電していることは無駄なエネルギーの損失となり、電池残量が少ないのに給電されていない事は、センサーシステムの不用意な機能不全につながるので、本研究開発で最適と考えられる無線電力伝送の制御システムを開発した。
 電波方式による無線電力伝送の受電器を設計・試作・評価を行い、距離10mにおいて、二次電池の充電を行い、無線センサーモジュールを間歇的ではあるが駆動できることを実証した。
 今後の課題は、無線センサーモジュールの動作時の低消費電力化を図ることにより、駆動可能時間を向上させる。二次電池残量をモニターと送電器の出力を制御することまでできれば制御システムとしてはより高機能化できる。