表題番号:2011B-150 日付:2013/04/08
研究課題次世代建設作業機のための準自律型操作者支援システムの開発と実証
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 亀崎 允啓
研究成果概要
 本研究では,次世代建設作業機のための準自律型操作者支援システムに不可欠となる負荷計測技術に関する開発を行った.建設作業機は,屋外の過酷な環境下で作業を行うため,搭載性・汎用性の観点から油圧センサを負荷計測センサとして用いることとした.本課題では,負荷計測技術の基盤技術開発として,建機マニピュレータの手先外力負荷(フロント負荷)の有無検出を行う汎用的フレームワークを提案した.油圧センサを用いて負荷計測を行う場合,計測されたデータには,外力だけでなくマニピュレータ自重力,シリンダ駆動摩擦力,慣性力による大きな振動成分などの負荷要因が発生してしまう.これらの主要負荷要因はマニピュレータの運動状態に応じて発生し,さらに油圧-機械システムの不確定性と非線形性に起因して同定の難易度が異なることが問題となる.そこで本課題では,上述の不確実性に対するロバスト性に着目して負荷有無判定のフレームワークの開発を行った.
 はじめに,上述の主要負荷要因を汎用的かつ簡易的に取り除くために,静止状態では理論的なモデルに基づく自重力計算,運動状態では実測値に基づく駆動摩擦力同定を行った.次に,特異姿勢やストロークエンドなどの負荷有無の判定が物理的にできない状態および,マニピュレータ振動や始動圧などの振動的かつ突発的な負荷要因の影響を回避するため,単純なフラグのみを用いたシリンダ状態評価手法を構築し,シリンダ負荷有無検出の信頼性向上を図った.最後に,複数シリンダ(本課題では3つのシリンダが対象)の負荷有無結果を利用優先度に基づき評価および統合し,よりロバストな手先負荷有無検出結果を出力する枠組みを提案した.各種計測センサを備えた油圧マニピュレータにて評価実験を行った結果,提案した外力負荷有無検出システムを用いることで,マニピュレータの姿勢や運動状態などの検出条件によらず,適切にフロント有無検出を行えることが示された.本年度の基礎開発をベースに,手先負荷計測技術の拡張を進めていく予定である.